1.遺留分侵害額請求ができる期間
兄弟姉妹以外の相続人は、遺贈や生前贈与によって遺留分を侵害された場合に、遺留分侵害額請求をすることができます。
この遺留分侵害額請求については、次のような期間制限が民法第1048条に規定されています。
この内容について詳しく確認しましょう。
2.遺留分侵害額請求権の消滅時効
遺留分侵害額請求権は、相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知ったときから1年が経過すると、時効によって消滅します(民法第1048条前段)。
2-1.いつから1年か(始期)
遺留分侵害額請求の時効消滅は、
以上の2点を「知った」ときから1年で消滅します。
相続の開始は、被相続人の死亡によって開始します(民法第882条)。 そのため、亡くなったのを知らされていたような場合には、相続の開始を知っていたといえることになります。
同時に、遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことも知っていなければなりません。
そのため、遺留分を侵害する遺贈があり、その遺言書の中身を見たのが死後2ヶ月後であったような場合には、その時点から1年と計算することになります。
2-2.時効にかからないようにするために内容証明を用いる
遺留分権利者はこの1年の間に遺留分侵害額請求を行うことによって、時効にかかることを阻止します。
請求の方法について法律で定められたものはありませんが、1年以内に遺留分侵害額請求を行ったことを明らかにするために、配達証明つき内容証明郵便を利用するのが実務上の処理です。
3.遺留分侵害額請求権の除斥期間
以上の時効期間とは別に、相続開始の時から10年経過で権利行使できなくなると規定されています(民法第1048条後段)。
相続開始をしたことや、遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知らなくても、被相続人が亡くなってから10年が経過すると、権利行使ができないことになります。
4.遺留分侵害額請求による金銭請求権の消滅時効
遺留分侵害額請求について直接規定しているのは以上の2項目のみですが、一度、遺留分侵害額請求の意思表示をすると、受遺者・受贈者に対する金銭債権となります。
この金銭債権は、遺留分侵害額請求権を行使したことによって発生するものですが、遺留分侵害額請求権とは別に発生する権利と捉えられています。
そのため、この金銭債権は、民法第166条1項の規定によって、
いずれかの期間で消滅時効にかかります。
そのため、この期間を過ぎて相手が時効の援用を行うと金銭の請求ができなくなるという意味では、どちらも期間制限と捉えておくべきでしょう。
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