1.遺産分割のやり直しは基本的にはできない
遺産分割のやり直しは基本的にはできないとおぼえておきましょう。
遺産分割を、当事者の話し合いである遺産分割協議で行った場合には、あとからやり直しを主張しても、他の共同相続人は遺産分割協議をして作成した遺産分割協議書を利用して手続きを行うことができます。
また、すでに銀行口座の払い戻しをしたり、不動産の登記をしているような場合に、これを元にもどすことはできません。
遺産分割調停や審判が確定している場合には、調停・審判の効力が発生するので、これと異なる主張をすることはできません。
2.当事者全員が合意をしていればやり直しを認めてもよい
遺産分割協議・審判・調停について、相続人全員が内容について合意しているような場合には、とくにやり直しを認めない理由はないので、やり直しをすることは認められます。
3.遺産分割が無効・取消となる場合
遺産分割協議について、適切な手続きに沿っていない・遺産分割という法律行為に問題があるような場合には、無効・取り消しをすることになるので、遺産分割協議はやり直すことになります。
無効になる例としては
があります。
4.遺産分割の解除はできるのか
遺産分割協議で代償分割をするなどで、相続人に義務を課したような場合で、代償金の支払いに応じない共同相続人がいるようなケースがあります。
通常の契約であれば、債務不履行として、契約の解除(法定解除:民法第541条)を行うことが可能です。
しかし、遺産分割協議については、平成元年2月9日最高裁判決で、解除をすることはできないという判決が下されています。
そのため、債務不履行をしている人に対して金銭請求をすることしかできません。
ただし、上述したように、合意の上であれば解除することも可能です。
5.まとめ
このページでは、遺産分割のやり直しについてお伝えしました。
遺産分割のやり直しは基本的には行うことはできず、合意によるやり直しの他には、法律で無効・取消ができる場合に限られます。
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