- 不動産の相続登記に必要な書類
- 不動産の相続登記に必要な書類の取得方法
- 不動産の相続登記書類の提出方法
【Cross Talk】不動産を相続した!相続登記にはどのような書類が必要?
父が亡くなり相続が発生しました。父が保有していた不動産の名義を私に変えるのですが、相続登記のために必要な書類はどのようなものがあるのでしょうか。
登記申請書に添付する書類など、多くの書類が必要になりますので確認をしましょう。
状況別相続登記等に必要な書類
- 相続登記等に必要な書類
相続登記・遺贈登記をするのに必要な書類にはどのようなものがあるのでしょうか。
遺言の有無や誰が相続をするのか、状況によって分けて確認しましょう。
人が亡くなったときの不動産の承継については、次のパターンが考えられます。
- 遺言がある場合
- 遺言に従って法定相続人が不動産を相続する
- 遺言に従って法定相続人以外の方に遺贈される
- 遺言がない場合
- いったん共同相続人の共有とする
- 遺産分割協議をして所有者を決める
- 相続欠格・相続人の廃除・相続放棄をした場合
遺言にしたがって法定相続人が相続をする場合
遺言にしたがって法定相続人が相続をする場合には、次の書類が必要です。- 登記申請書
- 遺言書(検認が必要な自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は検認を行ったうえで検認済証明書も添付)
- (遺言執行者が選任されていた場合)遺言執行者の印鑑証明書
- (遺言執行者が選任されていない場合)相続人の印鑑証明書
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産を取得することになった人の住民票
- 相続する不動産の固定資産評価証明書
- 収入印紙
遺言にしたがって法定相続人以外が相続をする場合
遺言にしたがって法定相続人以外の方が相続をする遺贈の場合には、次の書類が必要です。- 登記申請書
- 遺言書(検認が必要な自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は検認を行ったうえで検認済証明書も添付)
- (遺言執行者が選任されていた場合)遺言執行者の印鑑証明書
- (遺言執行者が選任されていない場合)相続人の印鑑証明書
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産を取得することになった人の住民票
- 権利書または登記識別情報
- 相続する不動産の固定資産評価証明書
- 収入印紙
遺言がなく法定相続分によって相続する場合
遺言がなく、不動産をいったん法定相続分に応じて共同相続人の共有という形で相続登記をする場合には、次の書類が必要です。- 登記申請書
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産を取得することになった人の住民票
- 相続する不動産の固定資産評価証明書
- 収入印紙
遺言がなく遺産分割協議によって相続をする場合
遺言がなく、遺産分割協議を行って相続する場合には、次の書類が必要です。- 登記申請書
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産を取得することになった人の住民票
- 相続する不動産の固定資産評価証明書
- 収入印紙
相続欠格・相続人の廃除・相続放棄をした場合
相続欠格・相続人の廃除・相続放棄をした相続人がいる場合、これらの相続人は相続人とはなりません。しかし、手続きを行うにあたって相続人ではなくなっていることについてわかる書類が必要となる場合があります。
相続欠格の場合
相続欠格の場合には次の書類が必要になります。- 相続欠格証明書および相続欠格者の印鑑証明書
- (相続欠格証明書を作成できない場合)欠格事由を証する確定判決の謄本および同判決の確定証明書
- (代襲相続人がいる場合)代襲相続人の戸籍謄本
相続欠格証明書の作成に協力しない場合には、相続人の地位を有しないことを確認する訴え(相続欠格確認の訴え)を提起して、勝訴判決を得て、判決謄本を添付します。民法891条1号に該当する場合は、刑事裁判の判決謄本を添付します。
相続欠格の場合は、代襲相続が発生するので、代襲相続人がいる場合には、代襲相続人の戸籍謄本が必要となります。
相続人の廃除の場合
相続人の廃除がされた場合は次の書類が必要です。- (代襲相続人がいる場合)代襲相続人の戸籍謄本
そのため、その戸籍を提出して手続きを行えばよく、相続欠格のように特別な書面を要しません。
なお、相続人の廃除の場合も代襲相続が発生するので、代襲相続人がいる場合にはその戸籍謄本が必要となります。
相続放棄をした場合
相続人が相続放棄をした場合には、次の書類が必要です。- 相続放棄申述受理通知書
- (相続放棄申述受理通知書がない場合)相続放棄申述受理証明書
もし他の手続きで原本を提出してしまった場合や紛失したなどで、相続放棄申述受理通知書がない場合は、家庭裁判所で相続放棄申述受理証明書を取得して、これを提出します。
相続放棄をした場合は、代襲相続は発生しませんので、相続放棄をした者の子の戸籍謄本は不要です。
不動産の相続登記に必要な書類は?遺産分割協議書は必要?
- 不動産の相続登記は登記申請書を作成して行う
- 遺言書もしくは遺産分割協議書が必要
不動産の相続登記に必要な手続きや書類について教えてください。
基本的には登記申請書と添付書類を用意して提出します。
登記全部事項証明書(登記簿謄本)
不動産の相続登記を行う際には、土地の地番や建物の家屋番号などの記載が必要となります。これらの内容を確認するために必要なのが、全ての登記事項が印字された登記全部事項証明書です。
登記簿謄本と呼ばれる書面も、ほとんど同じものなので、利用することができます。
登記申請書
不動産の登記は、売買でも相続でも登記申請書を作成して提出します。
なお、登記申請書には不動産の情報(所在地や地積、地番など)を正確に記載する必要があります。 不動産の情報に誤りがないように、登記全部事項証明書の内容を確認しながら記載するのが一般的です。
委任状
相続登記を他人に依頼する際には、代理権を証明する書類として委任状が必要です。
司法書士や弁護士に依頼するような場合が典型例ですが、親族などに手続きを行ってもらう場合も同様です。
収入印紙添付台紙
不動産の相続登記をする際には登録免許税の納付が必要であり、収入印紙で納める方法があります。
この場合、収入印紙を貼付する台紙を法務局や登記所で取得し、台紙に収入印紙を貼付して提出します。
登録免許税については「不動産の相続登記に必要な登録免許税って?納付方法や計算方法は?」において詳しく解説しておりますので、こちらも参照してみてください。
相続関係説明図
相続人であることを証明するために戸籍謄本も添付しますが、 何十枚にもわたる場合や内容が複雑な場合があります。
そういうときは、被相続人と相続人の関係を図表で示した、相続関係説明図を作成して提出します。
相続関係をわかりやすく示す効果があるほか、相続登記をする際に提出する戸籍謄本の原本還付(後述)を受けることができるという効果があり、戸籍の費用の節約や収集の手間を減らすというメリットがあります。
申請人の住民票
相続登記をする際には登記名義人の住所も記載されます。
その住所を確認するため、住民票を取得して提出します。
被相続人の住民票の除票
相続は被相続人が死亡した時に開始します。
そのため、被相続人が死亡したということを証明する必要があります。
被相続人が死亡したときには、死亡届を市区町村に提出します。 これによって住民登録から削除されるのですが、そのことを証明するものとして住民票の除票を取得して添付します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍
被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得します。
これは、被相続人が死亡したことによって発生する相続について、誰が相続人であるかを確定するために必要となります。
非常に稀ですが、戦争で焼失してしまっていたり、旧樺太・北方領土にある戸籍の一部が滅失してしまっている場合があります。旧樺太の戸籍が残っている場合、外務省アジア大洋州局地域政策課で保管されているので、ここに請求をします。北方領土の戸籍が残っている場合は、釧路地方法務局根室支局で保管されています。
戸籍が保管されていなかった場合には、「保管していない旨の証明」など残っていないことを証明する書類とともに、「他に相続人がいないことの証明書」を相続人で作成して提出します。
戸籍に関しては「相続したときに必要な戸籍謄本の取り方・見方・提出先について解説!」にて解説しておりますので、こちらも参照してください。
なお、戸籍謄本については、被相続人が亡くなった後の戸籍謄本が必要となります。
相続人全員の戸籍謄本
次に、相続人全員の最新の戸籍謄本も取得します。
被相続人の戸籍を見れば全て載っていると思われますが、被相続人の戸籍だけでは不足している場合もあります。例えば、被相続人の子どもが結婚した場合には、被相続人が筆頭者となっている戸籍から抜けますが、子どもが死亡した場合には孫が相続人になります。
この場合、孫が相続人であることを示すために、被相続人の孫の戸籍も取得しなければなりません。
遺産分割協議書
相続人が複数いる共同相続の場合、以下のケースでは遺産分割協議書が必要です。- 遺言書がない
- 遺言書があるが、遺言書に記載のない不動産がある
- 遺言書があるが、無効である
- 遺言書があるが、相続人全員で合意して遺言書の内容と異なる割合で相続をする
印鑑登録証明書
遺産分割協議書には各人が署名したうえ、通常は実印で捺印をします。
この印鑑についての印鑑登録証明書を取得して提出します。
印鑑登録証証明書については、提出時に発行したときから3ヶ月以内であることが必要とされるので注意しましょう。
固定資産税評価証明書
上述したように不動産登記には登録免許税の納付が必要です。
登録免許税は不動産の固定資産税評価額に基づいて計算されるため、固定資産税が記載されている固定資産税評価証明書を取得します。
不動産の相続登記に必要な書類の取得方法
- 不動産の相続登記に必要な書類の取得方法
不動産の相続登記に必要な書類はずいぶん沢山あるんですね。
はい、効率良く取得するために、どこで何が手に入るか?という観点からお伝えしますね。
これらの書類をどこで収集するのか、場所に応じて分類しましょう。
インターネット
まず、自宅などでインターネットを通して取得できる書類は次の通りです。- 登記申請書はインターネットでひな形を取得することが可能です(法務局のホームページ)。
- 委任状・相続関係説明図についてはフォーマットはありませんが、記載例は示されています(法務局のホームページ)
- 不動産登記事項証明書については後述のように法務局の窓口で取得する方法もありますが、オンラインで申請することもできます(登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと)。
市町村役場
- 市区町村の役所や役場では、住民票・住民票の除票・戸籍謄本を取得できます。
直接窓口に出向いて取得しても良いですし、郵送で請求することも可能です。
郵送で請求する際には、手数料は定額小為替を用いて納付します。定額小為替は郵便局で購入することができ、納付する金額に100円の手数料がかかります(例:350円の定額小為替を購入するためには350円+100円=450円が必要)。
郵送する際には返信用封筒に切手を貼って同封します。
※取得対象の方の家族が多いような場合には、戸籍謄本の枚数が多くなる場合があるので、余裕をもって返信用封筒に切手を貼っておくようにしましょう。
・固定資産税評価証明書は、不動産の所在地の市町村役場(東京23区については都税事務所)で取得できます。
法務局
法務局では不動産登記全部事項証明書の取得ができます。
遺産分割協議書は相続人の間で作成
遺産分割協議書は相続人が集まって話し合い(遺産分割協議)をして、相続人間で合意できた内容を基に作成します。遺産分割協議書は、相続人たちで作成することもできますが、記載すべき内容や注意点も多く、内容が複雑になることも多いです。不安であれば弁護士に相談したり作成を依頼したりすると良いでしょう。
不動産の相続登記に必要な書類の提出方法
- 不動産の相続登記に必要な書類の提出方法
必要な書類を作成・収集が終わったらどうやって提出すれば良いのでしょうか。
書類の提出は法務局で行います。提出にあたって綴じる順番などについても確認しましょう。
不動産の相続登記に必要な書類の提出先
不動産の相続登記に必要な書類は、不動産の管轄の法務局にて行うことになります。
管轄については、法務局のホームページ「管轄のご案内」
こちらも参照してください。
相続登記の必要書類の綴じ方にルールはある?
作成した相続登記の必要書類についての綴じ方にはルールはあるのでしょうか。特に法律や規則等でルールなどは決まっていませんが、専門家は次の順番で綴じます。
- 登記申請書・収入印紙貼付台紙
- 添付書類
- コピー
- 原本
このときに、ホチキスで閉じたこの2つの書類の見開き部分に契印を押印します。
次に必要書類のうち、後述する原本還付を受けるためのコピーを揃えて綴じます。例えば、遺産分割協議によって相続登記をする場合には、次の書類についてコピーを取って綴じます。
- 遺産分割協議書
- 印鑑証明書
- 被相続人の住民票の除票(もしくは戸籍の附票)
- 被相続人および相続人の戸籍謄本類
- 遺産分割協議により不動産を取得した人の住民票(もしくは戸籍の附票)
- 固定資産評価証明書
原本還付とは
- 原本還付とは
- 原本還付を受けるために必要なことは
提出先がこうも多いと戸籍謄本を集めるのが大変ですね。
原本還付という制度があるので利用しましょう。
一通り集めるだけでも大変なことが多いのですが、手続きごとに提出して取り直しをしなければならないとなると、手続きの数だけこれらを収集する必要があり、相当の手間がかかります。
そのため、提出した戸籍謄本などの原本を返してもらえる、原本還付というものを利用しましょう。
原本還付とは
原本還付とは、相続登記のために法務局に提出した書類の原本を、確認の後に返還してもらえる制度のことをいいます。上述したように戸籍謄本、遺産分割協議書、住民票の除票、印鑑登録証明書などは、他の相続手続きにも利用するため、すべて新たに揃えるのは大変ですので、このような措置を認めています。
相続登記は銀行預金に関する手続きなどよりも後に行われることものほうが多いので、相続登記が最後の相続手続きの場合には、そのまま提出しても問題ないでしょう。
原本還付を利用する場合の手続き方法
原本還付を利用する場合の手続きは次の通りです。原本還付を受けたい書類のコピーに、「原本と相違ない」旨を記載して、申請者全員が署名して押印します。
押印は「申請書に押印した印鑑」と同じものを利用しなければなりません。
戸籍謄本のように書類が複数あるような場合には、全てに「原本と相違ない」と記載して記名押印するか、全ての書類をホチキスで止めて契印(ページの継ぎ目に押印)をして一番上のページにだけ「原本と相違ない」と記載して署名・押印するという方法も認められます。
まとめ
このページでは、不動産の相続登記に必要な書類についてお伝えしてきました。
相続登記に必要な書類は多いので、確実に揃えて手続きをするようにしましょう。
もし自分で用意することに不安があるようであれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
- 遺産相続でトラブルを起こしたくない
- 誰が、どの財産を、どれくらい相続するかわかっていない
- 遺産分割で損をしないように話し合いを進めたい
- 他の相続人と仲が悪いため話し合いをしたくない(できない)
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