- 遺言執行者とは
- 遺言執行者の職務の内容
- 遺言執行者になってもらうべき人
【Cross Talk 】遺言執行者って何をしてくれるの?
今遺言書を書こうと思っているんですが、インターネットで調べていると「遺言執行者」というものを見つけました。これはどのような制度ですか?私の場合つけたほうがいいのでしょうか。
遺言をした内容をきちんと実行してくれる人のことを言います。つけておくと遺言の内容については相続人に代わっておこなってくれるので、相続人が楽でいいですよ。
そうなんですね!詳しく教えてください。
自分が亡くなったときに自分の財産の扱いについて指定する遺言をする際には「遺言執行者」というものをつけることができます。遺言執行者は遺言で書かれた内容を実行に移す職務を任せられた人です。法律上の職務なので弁護士がなるように思われるかもしれませんが、法律上は誰でもなることができます。しかし、不動産登記や銀行口座の取り扱いなど、相続における事務は複雑・面倒なものもあるので、遺言執行者に任せてしまえば相続人・受遺者が楽になります。費用はかかりますが専門家に任せるのがよいでしょう。
遺言執行者とはどのような制度か
- 遺言執行者とはどのような制度か
- 遺言執行者が何をしてくれるのか
遺言執行者というのはどのような制度なのでしょうか。
遺言の内容をきちんと実行してくれる人のことをいいます。たとえばで「不動産はAに相続させる」と書いた場合、遺言執行者はAさんが不動産の登記名義人になるように登記をしてくれます。
遺言執行者がどのような制度か見てみましょう。
死後の遺言の取り扱い
まず、法律上有効な遺言があった場合にはどのような状態になるのか説明します。 遺言がなければ相続に関する法律に書かれたとおりに財産が承継されますが、遺言があれば遺言内容によって承継がされます。たとえば、ある方の財産が銀行預金と不動産だけで、相続人が妻Aさんと子Bさんであるような場合を考えましょう。 遺言で「不動産はAさんに、銀行預金はBさんに」という遺言をしていた場合、不動産はAさんのものとなります。 Aさんはこの遺言に従って不動産の名義をAさん名義に登記をする必要があります。
遺言執行者とは
遺言執行者は、遺言の内容を実行してくれる職務の人をいい、民法1006条以下に規定されているものです。遺言執行者の具体的な職務
遺言執行者は、まず、遺言の内容を相続人に通知する必要があります(民法1007条2項)。一般的には遺言書の写しを相続人に送る形で通知することが多いです。 更に相続財産の目録を作成し、相続人に交付します(民法1011条)。 その後、遺言の内容を実現するために必要な行為を行います。 上述しましたが不動産の移転についての遺言がある場合には、移転登記を行います。 これらの手続きのためには戸籍の収集などが必要となりますが、そのための権限も遺言執行者に与えられています。 なお、遺言執行者が選任されている場合には、遺贈は遺言執行者が行うこととなっています(民法1012条2項)。遺言執行者には誰がなるのか
遺言執行者には誰がなるのでしょうか。 民法上は、未成年者・破産者について遺言執行者になることができないと規定している以外は、遺言執行者の資格について規定していません。 そのため、親族の一人を指定しても良いですし、知人や弁護士を指定しても良いとされています。遺言作成に関与してもらった弁護士などに遺言執行者になってもらう
- 遺言執行者の職務は法律知識が必要
- 遺言作成時に遺言執行者になってもらうことも可能
遺言執行者は誰でもなれるということなのですが、誰になってもらうのが良いでしょうか。
遺言執行に関する実務には法律知識が必要です。遺言作成をする際に弁護士に頼んでいることが多いと思いますので、その方に遺言執行者になってもらうのが良いでしょう。
遺言執行者は法律上誰がなっても良いのですが、誰になってもらうのが良いのでしょうか。 遺言作成の際には弁護士に依頼することが一般的なのですが、その際に弁護士に遺言執行者になってもらうことができます。
弁護士に依頼することのメリット
弁護士に依頼するのは確かに有料ですが、次のようなメリットがあります。 相続に関する手続きには法律の知識だけでなく、戸籍の収集などの手続きについての知識も必要で、その上手間がかかります。 万が一遺言のことで争いになり、法律知識が不十分であった場合には、争いが泥沼化しかねません。 弁護士であれば、法律知識や手続きに関する知識もありますし、手続きを任せてしまうことが可能です。 費用がかかっても安全・確実・スムーズに遺言の内容を実施するには、弁護士に遺言執行者になっておいてもらうのが良いといえます。遺言執行者になってもらうための手続き
遺言執行者については、遺言書を作る際に指定する、家庭裁判所に選任してもらう等の方法があります。 遺言の作成がこれからの場合には、遺言執行者になってくれる弁護士に依頼をすれば、遺言作成時に遺言執行者になるための手続きも同時にしてもらえます。 亡くなった方が遺言書をつくっていたものの、遺言執行者を定めていなかったような場合には、改めて遺言執行者を家庭裁判所に申立てをして選任してもらうことが可能です。 手続きは、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、申立人・添付書類を提出して行います。 申立書をする場合の費用は収入印紙800円分と、裁判所が連絡のためにつかう切手代金を納めることになります。申立書のダウンロード:裁判所のホームページ
記載例:裁判所のホームページ
添付書類は遺言書と戸籍に関する書類になります。
参考:遺言執行者の選任
遺言執行者になってもらうための費用
遺言執行者になってもらうための費用はどうなっているでしょうか。 弁護士費用は自由化されておりますので、弁護士によって異なりますが、遺産の内容によって変動することが多いです。 なお、東京新宿法律事務所では遺産の価額に応じて下記のような費用体系となっています。遺産額 | 報酬(税別) |
---|---|
300万円以下 | 30万円 |
300万円を超え、3,000万円以下 | 24万円+遺産総額の2% |
3000万円を超え、3億円以下 | 54万円+遺産総額の1% |
3億円を超える場合 | 204万円+遺産総額の0.5% |
まとめ
このページでは遺言執行者についての概要についてお伝えしてきました。 遺言は遺言書を作成しただけで終わりではなく、きちんと遺言内容が実行されてはじめて遺言を行った意味があります。 遺言執行者は、死後に遺言した内容を実行してくれるものになり、最後まで見届けてもらう意味でも遺言書作成を依頼した弁護士に遺言執行までまかせてしまうのが良いでしょう。
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