- 使わない不動産は相続でのリスクが高い
- 不動産売却後、遺言書に代金を遺贈する旨を記載
- 遺言書には遺言執行者を指定しておくことで、トラブルを防止できることがある
【Cross Talk 】使わない不動産の相続はどうすれば良いですか?
終活で財産の整理をしています。将来相続の対象となる財産の中に現在使用していない不動産があるのですが、使っていない不動産は相続でトラブルが起こりやすいと聞きました。本当ですか?
使用していない不動産は誰が管理をするか、売却・解体においても誰が行うかで相続人・受遺者の間で意見が別れやすくなっています。放置しておくことでもリスクが発生してしまいます。
詳しく教えてください。
使わない不動産は、相続においてリスクが高く相続人・受遺者の負担となってしまう事例が多いです。使用していない不動産を相続する方には責任が生じ、売却・解体などの場面でも相続人・受遺者の間でトラブルが起こることもあります。対策として不動産を売却した代金を遺贈する「清算型遺贈」の方法をお伝えしていきます。
使わない不動産を相続するリスク
- 使わない不動産は相続人・受遺者の間で争いが起こる可能性がある
- 放置しておくことで行政から指導が入り除却されることも
使わない不動産は相続の際にどのようなリスクがあるのでしょうか。
管理、売却・解体、放置など様々な場面で争いやトラブルが起こる可能性があります。
誰が管理をするかで相続人に争いが発生する
不動産を相続すると、相続人に不動産の管理を行う義務が生じ、場合によってはトラブルに発展する事があります。不動産の管理を相続人自身で行う際には設備の保守点検・清掃などの手間と専門知識が必要となり、業者に委託すると一定の費用がかかります。 そのため遺産分割協議で「誰が管理をするか」という争いが発生する事例が存在します。
売却・解体する場合でも誰がどのようにするかで争いが発生する
不動産を売却する際には、不動産会社への査定依頼や契約、売却活動などのステップを踏む必要があります。また、一般的な売却方法である不動産会社の仲介により売却する時には、約3~6ヶ月程度の期間と仲介手数料、印紙税などの費用がかかります。解体する場合にも、解体業者選びや契約などの手間とコストがかかります。さらに住宅地では家屋を解体することで固定資産税の特例が適用除外となり、支払う税金が高くなってしまいます。 その結果、遺産分割協議において「誰が売却・解体を行うか」という問題が生じることになります。
放置したことによって発生するリスクもある
家屋を放置すると空き家となってしまいますが、近年少子高齢化による空き家の増加により景観・治安の悪化が問題視されています。国土交通省が2015年度に施行した「空家等対策の推進に関する特別措置法」の「特定空家等」に認定されると、除却・修繕などをするよう自治体から指導が入ったり、固定資産税・都市計画税が高くなったりする場合もあります。 使わない不動産は管理、売却・解体、放置、いずれの場面でもリスクが発生してしまいますが、対策として遺言書によって「清算型遺贈」を指示する事が可能です。
使わない不動産がある場合の清算型遺贈について
- 使わない不動産を売却後に代金を遺贈する場合には、遺言書に記載しておく
- 遺言執行者を指定、記載しておくとより確実に遺贈ができる可能性がある
使わない不動産を売却して、代金の遺贈を指示したい時にはどうすれば良いでしょうか?
遺言書に記載しておくことで実現できる可能性が高くなります。さらに遺言執行者に専門家を指名しておくと確実に実行できる確率が上がります。
売却した代金を遺贈する清算型遺贈とは
遺産を売却した代金を相続する方法を「清算型遺贈」と呼び、不動産・貴金属など分割・評価が難しい遺産で利用されるケースが多いです。 遺言書に不動産を売却する旨と売却代金を相続する方・割合を記入します。記載の例は以下の通りです。 「所有する不動産を遺言執行者に売却させ、遺言執行・不動産売却に関わる費用を清算し残った売却代金を遺言者の息子Aと娘Bに1/2ずつ分配する」
遺言執行者をつけておくことが望ましい
遺言書で清算型遺贈の意思を示す際には、遺言執行者を指定しておくことでスムーズに相続できる可能性が高くなります。遺言執行者とは遺言書に記載された内容を実行する方を指し、基本的に誰でもなることができますが、弁護士といった専門家かつ利害関係のない第三者を選任することで「トラブルのない相続ができた」という事例は多いです。 清算型遺贈を希望する方は、遺言書に遺言執行者を選任する事を同時に記入しておくことが望ましいと言えるでしょう。
まとめ
このページでは使わない不動産の相続におけるリスク、売却により代金を遺贈する方法をお伝えしました。 遺言書に不動産を売却し、遺贈する「清算型遺贈」を記載することでトラブル回避ができる可能性が高くなります。遺言執行者は誰でもなることができますが、トラブルをより回避するためにも、法律の専門家である弁護士をおすすめします。
- 亡くなった親に借金があるかもしれない
- 親と疎遠のため、財産を相続する気がない
- 相続税が払えないため家などの不動産を相続したくない
- 自営業を引き継ぎたいが借金がある
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