- 自筆証書遺言とはどういうものか
- 自筆証書遺言にはどんなメリット・デメリットがあるか
- 自筆証書遺言の書き方
【Cross Talk】自筆証書遺言とはどんなものか
遺言として自筆証書遺言の作成を考えています。自筆証書遺言について詳しく教えてください。
自筆証書遺言は、記載内容を誰にも知られずに作成できるというメリットはあります。その一方で、法律に定められた方式を間違ってしまうと遺言が無効になることもあるため、注意が必要です。そのほかにも留意点がありますので、自筆証書遺言について詳しくみていきましょう。
遺言は、法律に定められた方法によって行われなければなりません。 その方法の一つとして自筆証書遺言があります。とくに手続きを必要とするわけではないため手軽に作成できるのですが、その分法律の規定に沿わない形で作成してしまって、無効となってしまうことも多いのが自筆証書遺言です。
自筆証書遺言とは?
- 遺言とはどのようなものか
- 自筆証書遺言とはどのようなものか
そもそも遺言や自筆証書遺言とは、どのようなものなのでしょうか。
遺言は被相続人の意思表示をするものです。民法の規定に沿った遺言をすることで、相続財産を誰に分けるか、相続分をどうするか、といった事を決められます。自筆証書遺言は、その遺言を残す方法のひとつです。
まず、遺言とは何か、自筆証書遺言とはどのようなものかを確認しましょう。
遺言とは?
遺言とは、一般的に自身の死後に残すメッセージのことを指し、遺産処分や相続に関する意思表示を行うものです。 相続というと、相続人が民法で決められた割合に従って行うのが基本ですが、遺言することによって被相続人が自由に遺産配分や割合を決めることができます。 遺言は民法に従った形で行ってはじめて効力を有するものになります。自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、民法が定めている遺言の方式の一つで、基本的には全文を直接自書して記載する方法で行うものです。 従来は全文を自書しなければならなかったのですが、法令が改正され、財産目録についてのみ、自書に限らずパソコンで作成したものも有効とされました(2019年1月13日施行)。 さらに2020年7月10日から、自筆証書遺言を法務局で保管してくれるサービス(自筆証書遺言書保管制度)が開始しました。自筆証書遺言のメリット?デメリット
- 自筆証書遺言のメリット
- 自筆証書遺言のデメリット
自筆証書遺言を残すことにはどんなメリット、デメリットがありますか?
手続きが不要なため一人で気軽に作成できるというメリットがある一方、民法の定める規定に沿っていない場合には無効になってしまうというデメリットがあります。
自筆証書遺言にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言にはどのようなメリットがあるのでしょうか。 まず、自筆証書遺言は、他の方式のように公証人を利用するようなものではありません。そのため、気軽に作成できることがメリットのひとつです。また、一度書いた遺言の内容を変更したい場合にも、変更手続きなどが不要なため、容易に訂正することができます。 ほかにも、他の方式が要求するような公証役場での手続きや証人を必要としないため、遺言したことやその内容を秘密にすることができます。 公証役場を利用しないので、その分の費用を抑えられるというのもメリットとして挙げられるでしょう。自筆証書遺言のデメリット
一方で自筆証遺言には次のようなデメリットもあります。 まず、誰にも知られずに自由に作成することができるので、民法に規定された要件に沿っていない場合には、遺言が無効になるということが挙げられます。 また、内容以前に遺言の存在自体、自分の死後に見つけてもらえないおそれもあります。 さらに、自筆証書遺言は、死後に遺言書が見つかった時点で遺言書の検認という手続きを経る必要があります。 検認には時間がかかるので、検認が不要な公正証書遺言に比べて手続きがスムーズにいかないというデメリットもあります。自筆証書遺言の書き方
- 自筆証書遺言の書き方
自筆証書遺言はどのように書くのですか?
基本的な自筆証書遺言の書き方について確認しましょう。
自筆証書遺言はどのように書くのでしょうか。法律で必要とされている事項についてお伝えします。
日付を必ず入れる
自筆証書遺言には、記載した日付を必ず入れます。 この日付は正確なものにするべきで、かなり昔の事ですが「◯月吉日」としたものが無効とされたことがあります。その他「◯才の誕生日に」など、一見わかるようなものでも、後に争いの種とならないように、きちんと日付を記載するようにしましょう。署名
自筆証書遺言には署名をする必要があります。当然ですが本人の名前を記載します。 芸能や執筆の仕事をしているなどで、本名以外の名前を持っている場合でも、かならず戸籍上の本名を記載します。 どうしても芸名などを記載したいという場合には「本名(芸名)」あるいは「芸名こと本名」と本名と芸名の違いがわかる記載をするのが良いでしょう。 芸名でも本人であると特定されれば効力が認められる判例がありますが、争いの種になりかねないので注意が必要です。押印
書面に押印をします。どの印鑑を使うべきかについて規定はされていないので、極端な話三文判でもよいのですが、固有の印影でないため被相続人以外が押印したのではないか?という争いの種になる可能性もあります。なので、できれば実印を利用するのがよいでしょう。割印
ページとページのつなぎ目、両方のページにまたがって押印することを割印といいます。 特に法律上定められているものではありませんが、これがあることによってそれぞれのページが連続して作られているという事がわかりますので、偽造されたものではない、という事を証明できます。財産目録
先ほど、パソコンで作って良いものとして財産目録があるという事をお伝えしました。 対象になるような資産が多い場合には、財産目録を作成した上で、その財産目録にあるものは誰に渡しますという記載が必要となります。 なお、財産目録を自書しない場合、目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名と押印が必要です。相続に関する指定する
相続財産を誰に受け継がせるか決まっている場合には、対象になる財産と相続人を指定します。預金口座と不動産の例について見てみましょう。預金口座の時には次のように記載します。
不動産の場合には次のように記載します。
祭祀に関する事項
祭祀とは家にかかわる財産で、「系譜・祭具・墳墓」の事をいいます。 たとえば、一家代々の墓があるような場合、通常の財産のように承継するようなものではない、というのは一般的な感覚です。そのため、これらの財産は、いわゆる後継ぎといわれるような人を決めて、一人に承継させるのが一般的です。次のように書くのが一般的でしょう。
付言
遺言書には基本的に遺産や法律関係に関することを記載します。 しかし、遺言するにあたって、どうしてこのような分配になったか、どのような想いがあるか、という事も記載しておきたいという場合もあります。そのような場合には、付言(あるいは付言事項)として、記載をすることがあります。自筆証書遺言を弁護士に依頼する場合の費用
- 自筆証書遺言の作成のサポートを受ける場合の弁護士費用について
自筆証書遺言を書くにあたって相談や作成の指導をしてもらう場合、いくらくらいかかりますか?
事務所にもよりますが100,000~200,000円を基本として、財産の内容などによって増えると考えてください。
自筆証書遺言は上記のように、ミスをしてしまうと無効となる危険性があります。そのため、専門家である弁護士に相談をしながら作成する事も検討したいものです。その場合、弁護士に相談・依頼をするための費用がかかってくるのですが、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。 まず、一例として弁護士に法律相談をする際には30分5,000円程度の費用がかかります。相談後、遺言書の作成を依頼する場合は100,000~200,000円を最低額として、財産の内容・相続人の数によって費用が増えます。
まとめ
このページでは、自筆証書遺言についてお伝えしてきました。手軽に作成できるものである一方、現実に要件を満たさないで無効となりやすいのが自筆証書遺言です。 法令改正が相次いでいることもあるので、自分に合っているかどうかの相談も含めて弁護士に相談しながら作成するのが望ましいといえます。
- 遺言書が無効にならないか不安がある
- 遺産相続のトラブルを未然に防ぎたい
- 独身なので、遺言の執行までお願いしたい
- 遺言書を正しく作成できるかに不安がある
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