- 人の死亡後の手続は多種多様にあることを知る
- 各相続手続をいつまでにすべきかを知る
- 相続税申告などスケジュールに注意が必要な手続を知る
【Cross Talk】人が死亡した後に発生する手続の期限って?
先日父が死去して相続が発生することになったのですが、相続手続っていつまでにしなければならないのですか?
手続の種類によっていつまでにしなければならないなどの制限があるので、種類別に検討をしましょう。特に相続に関する手続は遅延すると手続が利用できなかったりペナルティになることもあるので、スケジュールを立てると安心です。
人が死亡をした後には、相続に関する手続を含めた様々な手続があります。 亡くなった方の職業・資産・生活状況・相続人がだれか、によって行わなければならない手続は変わってきます。 チェックリストを参考に一覧で確認しておくとともに、期間があるものについて注意しておくべき手続について知っておきましょう。
人の死亡後に発生する相続などの手続について
- 死亡後に発生する手続の種類について知る
人が死亡した後の手続にはどのようなものがあるのでしょうか。
相続というイメージが強いかもしれませんが、死亡した人の遺族がするべき手続や、名義人になる人がする手続など様々なものがあります。
まず、人が死亡した後にはどのような手続が発生するのでしょうか。 人が死亡すると、戸籍・年金・資産や契約に関する名義変更など様々な手続を遺族が行わなければなりません。 そして、その手続は、戸籍法や年金に関する法律など、様々な法律で期限を区切って決められていることがほとんどです。 そのため、人の死亡後に発生する手続については、死亡してからどのくらい期間が経過したら行わなければならないか?という観点から整理をして、チェックしておきましょう。
死亡後の手続のチェックリスト
- 時系列ごとに死亡後に必要な手続のチェックリスト
どのような手続があるか教えてください。
時系列に沿って説明いたします。
亡くなった後に行う手続をチェックリストで把握しましょう。
7日以内に行うこと
死亡届の提出10日以内に行うこと
厚生年金の受給停止手続14日以内に行うこと
国民年金の受給停止手続 世帯主変更届の提出 健康保険の資格喪失手続 介護保険の資格喪失手続3ヶ月以内に行うこと
相続放棄・限定承認の申述4ヶ月以内に行うこと
所得税の準確定申告6ヶ月以内に行う事
失業給付などの未支給分の請求10ヶ月以内に行うこと
相続税の申告1年以内に行うもの
遺留分侵害額請求権の行使その他期限がないもの
速やかに行うべきものとしては、 電気・ガス・水道などの公共料金についての手続 クレジットカードなどの年会費がかかるもの 携帯電話・インターネットプロバイダー・各種WEBサービスなど有料サービスの解約 パスポートの返納遺産分割→不動産を売却する場合や預金の解約などには必要 相続登記→不動産を売却する場合に必要
特に注意が必要な手続のスケジュールについて
- 相続放棄の3ヶ月は実際には短いことがほとんど
- 相続税の申告には共同相続人がいる場合には遺産分割手続をしていないと更生申告などが必要になるため早め早めの行動が必要
いろいろな手続がありますが何か注意すべき手続はありますか?
相続放棄と相続税申告についてはスケジュールに注意が必要です。
以上のように様々な手続がありますが、特に相続において気を付けておくべき手続は、相続放棄と相続税の申告です。
相続放棄
相続放棄に関しては原則として相続開始を知った時から3ヶ月以内に申述を行うこととされています(民法第915条1項)。 しかし、相続にあたって被相続人の財産について死後すぐに話し合ったりしないことが多く、中には四十九日法要がすぎるまで何らの手続を行わないという相続人も珍しくありません。 被相続人の借金の調査のためには信用情報機関に借金がいくらあるのかの開示を求めることが一般的なのですが、開示請求には戸籍謄本を揃える必要があり、人によっては2週間程度の期間を要します。実はこの3ヶ月という期間はあっという間に過ぎてしまうことが一般的であると考えておきましょう。 ただ、3か月以内に相続放棄の手続ができなそうな場合でも、相当の理由があるような場合には、3ヶ月を超えても相続放棄の申述ができる場合があります。 この場合、3ヶ月以内に相続放棄ができない合理的な理由について、上申書という形で説明する必要があります。 相続放棄ができなくなるということは、借金がある場合には支払う必要が法的に発生するということになりますので、手続を考えた段階で早めに弁護士に相談すべきといえます。
相続税の申告
相続税の申告については相続放棄よりも長い10ヶ月の期間が設定されています。 この期間を過ぎた場合には、延滞税の申告が必要になったり、未申告として悪質な場合には脱税として刑事罰に問われるものになります。 相続税申告にあたっては、申告書を作成して添付書類を添付して申告を行います。 相続税申告の仕組みは非常に難解であり、かつ添付書類も多岐にわたります。また、遺言書がない場合には、遺産分割協議を行わなければ、申告時に小規模宅地の特例が使えないなどの不利益を被るほか、期間を過ぎてから遺産分割協議が終わった場合には更生申告という、いわゆる申告のやり直しが必要になります。 そのため、実際には遺産分割協議は3ヶ月~4ヶ月くらいで終わらせておき、相続税の申告を始めないと間に合わないというのが実情です。
まとめ
このページでは、人が死亡した場合の相続などの手続についてのチェックリストと、手続時期の中でも気を付けておくべき相続放棄・相続税の申告についてお伝えしてきました。 ある人が亡くなった場合には、戸籍に関する死亡届の提出や、年金・健康保険に関する手続などやるべき事は多岐にわたりますので注意が必要です。 特に期間の制限を過ぎることによって不利益が大きい相続放棄と相続税申告については、それぞれ3ヶ月10ヶ月と一見長い期間が与えられているように見えても、実際には手続を行うと非常に短い期間で手続を終了しなければならないものもあります。 何をすべきかわからない!という場合には弁護士に相談して、早め早めに手続を行うように心がけましょう。
- 死亡後の手続きは何から手をつけたらよいのかわからない
- 相続人の範囲や遺産がどのくらいあるのかわからない
- 手続きの時間が取れないため専門家に任せたい
- 喪失感で精神的に手続をする余裕がない
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