- 相続した不動産を売却する場合の注意点
- 不動産の名義が共有のままだと売却しづらい
- 不動産を譲渡するときの譲渡所得税
【Cross Talk 】相続した不動産を売却しようと思っています
先日父が亡くなり相続をすることになりました。父は不動産を持っていたのですが、私達は利用するものではないので売却しようと思っています。何か注意点はありますか?
名義変更をしないと売却できないので、一旦は現状のまま遺産分割をした後に売却するのが現実的です。他にもいくつか注意点があるので、一緒に確認していきましょう。
ぜひ相談に乗ってください!
被相続人が不動産を所有していた場合、不動産も相続の対象になります。 相続した不動産を利用する予定がない場合には、固定資産税や管理の費用がかかるため売却を検討することになります。 売却をする場合の注意点や売却をする場合の税金について確認しましょう。
相続した不動産を売却する場合の注意点
- 相続した不動産を売却する場合の注意点
- 名義変更をしないと売却ができない
相続した不動産を売却する場合にはどのような注意点がありますか?
名義変更を怠ってしまうと売却できないので注意が必要です。その他にも、場合によっては注意が必要なこともあるので確認していきましょう。
相続した不動産を売却する場合の注意点を確認しましょう。
住宅ローンが残っている場合には任意売却となる
もし相続した不動産に住宅ローンが残っている場合には、売却方法が「任意売却」となるので注意をしましょう。任意売却とは、住宅に抵当権がついている場合に、債権者の意向を確認しながら売却活動を行うものです。 住宅ローンで住宅を購入した場合には、住宅に抵当権という権利がついています。 この権利は、住宅ローンの返済ができなくなったときに、住宅を競売にかけてそこからローンの回収をすることができるものです。
抵当権が残ったまま売却することも法的には可能ですが、売却された後でも抵当権がついていれば競売にかけることができるので、抵当権が残ったままで売却をすることは事実上不可能です。 このように抵当権が残ったままの不動産を売却する場合には、債権者が不利益にならないように売却を行い、抵当権を抹消してもらう必要があります。任意売却は一般的に専門の会社が行っているので、任意売却専門の会社に依頼して行うことになります。 もし住宅ローンが残っている場合でも、団体信用生命保険に加入している場合には、被相続人の債務がなくなり、抵当権もなくなるので、住宅ローンの契約書の内容をよく確認しましょう。 また、あまりにもローンの残額が多くなる場合には、相続放棄も検討するようにしましょう。
相続した不動産は名義変更をしないと売却できない
相続した不動産の登記名義人は被相続人のままになっています。 不動産の売却をする際には、登記の移転が不可欠なのですが、登記名義人が被相続人のままになっている場合には購入者に移転登記ができません。 そのため、売却をするのであれば、名義変更をする必要があります。共有名義になった場合の売却が複雑になる
不動産の分割方法にはいくつかありますが、不動産を共有にする方法をとった場合、売却をする場合には共有者全員の同意が必要です。参考:「相続不動産の遺産分割方法は現物分割、代償分割、換価分割、共有」
共有者全員の同意が得られない場合には、売却手続を円滑に進めることが難しくなります。 また、共有持分のみを買い取る不動産会社もあるので、家族以外の方が共有者となってしまうケースもあり、売却にあたって柔軟な対応がとれなくなることもあります。
利用しない不動産はすぐに売ったほうがメリットになることがある
例えば、実家を相続したが誰も利用せずに空き家のままにしているということもあります。 売却しようという判断がなかなかつかないこともありますが、そのまま放置しておくと、固定資産税や電気・ガスなどの管理のための費用がかかります。 場合によっては、不法侵入されて中を荒らされる・不法投棄される・崩れて第三者に損害を与えると損害賠償義務が発生する・放火されるなどの危険が伴います。 そのため、利用の予定がない不動産については、早めに売却する方が良いでしょう。相続した不動産を売却する場合の譲渡所得税について
- 不動産を譲渡する場合には譲渡所得税がかかる
- 相続の場合には譲渡所得税が軽減される特例がある
不動産を売却する場合には税金がかかるのですか?
譲渡益が出ているときには譲渡所得税がかかります。ですが、相続税を支払った場合には特例があります。
不動産を譲渡する場合の譲渡所得税について確認しましょう。
譲渡所得税とは
譲渡所得税とは、土地や建物などの資産を譲渡した際の利益に課せられる税金(所得税・住民税)のことをいいます。 不動産の中でも土地は特に、購入した当時よりも価値が上がっていることがあります。 不動産を取得したのが10年以上昔であるような場合には、価値が昔と大きく異なることもあるので、売却する場合には申告を必要とすることが多いでしょう。譲渡所得税の計算方法
譲渡所得の金額は、 譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(一定の場合:収用などのとき:最高5,000万円、自分の住んでいる家屋と土地を売ったとき:最高3,000万円)=課税譲渡所得金額 で計算を行います。取得費とは、不動産を買い入れたときの購入代金や仲介手数料の合計額をいいます。 また、譲渡費用とは、仲介手数料、測量費など不動産を売るために直接要した費用、貸家の売却に際して支払った立退料、建物を取り壊して土地を売ったときの取壊し費用などのことをいいます。 税率は、保有した期間に応じて、長期所得と短期所得に分類され、所得税については、長期所得は15%・短期所得は30%とされます。また、住民税については、長期所得は5%、短期所得は9%とされます。 長期か短期かの期間については、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えていれば長期、それ以下であれば短期とされます。
譲渡所得税を軽減できる特例
不動産を相続したような場合には、相続税を支払っていることが想定されます。 そのような場合に、相続後3年10ヶ月以内に相続した不動産を売却する場合には、支払った相続税の一定割合を取得費に加算することができる「相続税の取得費加算の特例」という制度があることを知っておいてください。まとめ
このページでは、相続した不動産を売却する場合の注意点や課税についての概要をお伝えしました。 不動産を相続したとしても、利用しないのであれば、固定資産税や管理費用などがかかるだけになってしまいます。 売却する場合には、名義の変更を確実に行うなどして、スムーズに手続きを進めるようにしましょう。 また、不明点がある場合には専門家に相談することをおすすめします。
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