- 相続・遺贈があった場合の不動産の登記
- 法定相続情報証明制度
- 自筆証書遺言書保管制度
【Cross Talk 】法務局で行なう相続手続きにはどのようなものがありますか?
相続手続きをしています。いろんな役所や窓口に行く必要があるみたいなのですが、法務局に行く手続きにはどのようなものがありますか?
不動産がある場合には相続登記は法務局で行ないます。法定相続情報証明制度や自筆証書遺言書保管制度といった比較的新しい相続に関する制度も法務局で手続きを行ないます。
そうなんですね!是非詳しくおしえてください。
相続が発生すると様々な手続きを行なう必要があります。その中でも法務局が関係してくる手続きでもっとも利用されるのが不動産の名義変更のための登記です。他には比較的新しい制度である法定相続情報証明制度・自筆証書遺言書保管制度があります。
法務局で行なう相続手続き1:相続登記・遺贈登記
- 相続・遺贈で不動産を受け取った場合登記をして名義変更をする
- 不動産の登記は法務局で行なう
不動産の名義を変更するときは登記をするんですね。
はい、登記は法務局で行ないます。
法務局で行なう相続手続きの1つが、相続登記・遺贈登記です。
不動産の名義変更は登記で行なう
相続・遺贈に限らず、不動産について所有権を取得した場合は、登記を行ないます。登記をすることによって、第三者に対して自分が所有者であると主張できることになります。 相続人が被相続人名義の不動産の所有権を得た場合にするのが相続登記、遺言書により、相続人以外の第三者が被相続人名義の不動産の所有権を得た場合にするのが遺贈登記です。
相続登記の手続き
相続登記は、登記申請書と添付書類を法務局に提出して行ないます。 原則として遺産は相続人全員の共有とされており、遺産分割によって不動産の所有者を決めることになります。 所有者となった方が、登記申請書と遺産分割協議書、戸籍謄本や固定資産評価証明書などを提出する手続きを行ないます。 なお、手続きを専門家に依頼する場合には、一般的には司法書士に依頼します。民法や不動産登記法等の法改正により、令和6年4月1日からは相続登記が義務化され、登記申請を怠れば10万円の過料が課されることになりました。 遺産分割協議は早く進めるとともに、相続登記も早く申請する必要があることに注意しましょう。
遺贈登記の手続き
遺言書で法定相続人以外の者に不動産を贈与することを遺贈といい、遺贈によって不動産を取得した場合には、遺贈登記を行ないます。 遺贈登記も登記なので、手続き場所は法務局です。 遺贈登記の場合にも、登記申請書を作成して、遺言書などを添付して手続きを行ないます。自筆証書遺言(自筆証書遺言書保管制度による場合を除く)・秘密証書遺言の場合には遺言書の検認をすることも忘れないようにしましょう。
参考:「遺言書の検認の流れやその後の手続の流れなど検認について解説!」法務局で行なう相続手続き2:法定相続情報証明制度
- 法定相続情報証明制度とは
- 法定相続情報証明制度の手続きの概要
新しい制度で、法務局でする手続きがあるんでしたよね?
はい、その一つである法定相続情報証明制度について確認しましょう。
法務局で行なう手続きの一つに、法定相続情報証明制度があります。
法定相続情報証明制度とは
法定相続情報証明制度とは、法務局に戸籍謄本等を提出し、あわせて提出する法定相続情報一覧図に法務局の登記官が認証文を付した写しを無料で交付してもらえる制度です。 平成29年5月29日から全国の法務局で運用がはじまりました。登記申請はもちろん、預貯金等の解約等、相続手続きにおいては、相続関係を証明するために、かならず戸籍謄本等を提出することになっています。 被相続人については生まれてから死亡するまでの戸籍を全て、相続人については被相続人との関係が分かる範囲で戸籍謄本などを取得する必要があり、それらはほとんどのケースで「量が多い」と感じられるものです。 取得をするのも大変ですし、一部を紛失してしまうと、どの部分が紛失したのかを確認する必要があります。
法定相続情報証明制度は、これらの戸籍謄本等のかわりに、交付される法定相続情報一覧図を利用することで、大量の書類を取り扱わなくても良いとするものです。 なお、従来どおり戸籍謄本等をそのまま提出しても差し支えありません。
法定相続情報証明制度の手続き
法定相続情報証明制度は、必要書類を揃えと法定相続情報一覧図を作成し、法務局に赴いて申出書に記入して申し出ることで行ないます。詳細については「相続手続で使える法定相続情報証明制度(法定相続情報一覧図)とは?」でお伝えしておりますので、併せて確認してください。
法務局で行なう相続手続き3:自筆証書遺言書保管制度の利用
- 自筆証書遺言書保管制度の概要
- 作成手続きと遺言書の検索方法
遺言に関してもうひとつ、新しい制度で、法務局でする手続きがありませんでしたか?
はい、それが自筆証書遺言書保管制度ですね。
法務局で取り扱う制度の一つに、自筆証書遺言書保管制度というものがあります。 こちらも令和2年7月10日にスタートした、比較的新しい制度です。
自筆証書遺言書保管制度とは
自筆証書遺言書保管制度とは、自筆証書遺言の形式で作成された遺言書を、法務局で保管しておく制度です。 通常、自筆証書遺言で遺言をした場合、作成した遺言書は自宅で保管しておき、亡くなったあとに家族に見つけてもらうことを想定しています。 しかし、自宅にある遺言書を家族が見つけて改ざんされるおそれや、見つけてもらえずに破棄されるおそれがあります。自筆証書遺言書保管制度は、法務局で原本を保管することで、改ざんのリスクや発見されないというリスクを防ぐことができます。 また、自筆証書遺言書保管制度で保管されている遺言書については、自筆証書遺言でありながら家庭裁判所での検認が不要とされており、相続人の手続き負担を減らすことが可能です。
自筆証書遺言書保管制度を利用して遺言書を作成する
自筆証書遺言書保管制度を利用するには、守らなければならないルールがあります。- 用紙:A4サイズ・記載した文字が読みづらくなるような模様や彩色がないもの・上部5mm下部10mm左20mm右5mmの余白を確保すること
- 記載は片面のみ
- ページ番号を記載(余白内に)
- 複数ページある場合でもホチキス等で閉じない
- ボールペンや万年筆など消えない筆記具を使用
- 氏名は戸籍通りに記載
- 訂正するときは訂正印を押して変更・追加
- 財産目録を自署することは不要だが全てのページに署名・押印する
相続人が自筆証書遺言書保管制度で遺言書を探す
遺言者が亡くなった後、法務局で遺言書を保管しているか探すことができます。 まず、遺言書保管事実証明書の交付の請求を法務局に行ないます。 遺言があった場合には遺言の中身を閲覧するために、遺言書情報証明書の交付の請求を行ないます。誰かが遺言書を閲覧すると、他の相続人にも通知されることになるので、相続人全員が遺言書の存在を確認することが可能となります。 自筆証書遺言書保管制度については、「【令和2年7月10日スタート】自筆証書遺言書保管制度ってどんな制度?」でも詳しく解説していますので参考にしてください。
まとめ
このページでは、法務局で行なう相続に関する手続きについてお伝えしました。 法務局は、遺産に不動産がある場合には名義変更のための登記手続きに必ず使うほか、最近始まった法定相続情報証明制度・自筆証書遺言書保管制度で利用されます。
- 身近に頼れる人や家族がいないため、不安がある
- 家族や親族に負担をかけたくない
- 死後の手続きや葬儀などに具体的な要望がある
- 遺品整理の際に、身近な人には見られたくないものがある
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