- 家を相続するときに問題になること
- 話し合いがうまくいかない場合の相談先
【Cross Talk 】家を相続するんだけど何を話し合えばいい?
先日父が亡くなり、母・長男である私・妹で相続をすることになりました。遺産には家があり、遺産分割協議をするということはわかったのですが、具体的にどのようなことを決めればいいかわかりません…。
家を相続したときに家族で話し合いをしなければいけないことは何なのか確認しましょう。
遺産に家がある場合には遺産の中でも価値が高いということ、居住のための基本であるということもあり、通常の遺産よりも考慮すべき点がたくさんあります。 どのような話し合いをして何を決めるのか、相談をするにはどのような専門家がいるのかについて確認しましょう。
遺産に家がある場合に主に話し合いになること
- 家を相続する際に問題になること
- 何を決めなければならないか
家を相続する際にはどのようなことを決めるのでしょうか。
いろいろとありますので順番にお伝えいたします
家を相続する際にどのような事項を話し合うのでしょうか。
誰が使用するか
まずはその家を誰が使用するか、ということを話し合わなければなりません。 配偶者の一方が亡くなってもう一方が従来どおり住んでいるような場合には、その生存している配偶者が利用することにあまり争いはないと思います。 誰が住むのかということが決まると、不動産の名義を誰にするのか(配偶者の名義にするのか、配偶者が亡くなった時の相続に備えて、子供名義にして配偶者は不動産を無償で利用できる形にするのか等)、不動産に付随する権利や不動産で生活していくために必要な契約(電気・水道など)を誰の名義で行うのか、固定資産税の支払いを誰が行うのか、ということを決定していくことになります。
他の遺産も考慮した結果、分割方法が不公平になった場合の対応
都市部に家があるような場合には、遺産の資産割合としてかなりの額を家・土地が占めているため、法定相続分どおりに分けづらいということもありえます。 例えば、遺産全部が5,000万円である場合で、家・土地の価格が4,000万円で預貯金その他の遺産があまり多くないというような場合を考えましょう。 この場合に家を相続する方は、遺産の4/5を受け継ぐことになるので、他の相続人としては不満に思う場合もあるでしょう。
不動産を所有するようになった方から他の相続人に金銭を譲渡するなど、他の相続人から不満や異議が出ないような分割方法を協議する必要があります。 もっとも、ここで合意が図れない場合も多くあります。その場合には専門家に相談するのがいいでしょう。
相続税が発生しないか
都市部に家・土地を持っているような場合には、相続税の基礎控除額を超える可能性があります。 この場合には相続税が発生しないかを確認する必要があります。 不動産の価格が遺産の大部分を占めるような場合には、小規模宅地等の特例を利用することで相続税を大幅に下げることが可能です。ただその場合でも相続税申告はしなければならないので、早めに遺産を精査しましょう。
空き家にする場合
自宅を相続する際に、すでに相続人全員が独立しており、自宅を空き家にすることがあります。 この場合には、家をすぐに利用しないため、共有にしておくようなこともあるのですが、このときには管理の方法や管理費用・固定資産税をどのようにするかということを話し合っておく必要があります。 後に支払いをしない場合の処理などもきちんと決めて、固定資産税の支払いについては納付のための通知を受け取る相続人代表者を決定して役所に届け出なければなりません。
家を相続する際の分割方法
- 家を相続する際の分割方法
- 相続争いに巻き込まれたくない場合には相続放棄をする
相続した家の分割方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
相続した家の分割方法についてはいくつかの方法があります。もし分割方法で家族が揉めはじめて自分は相続したくない、となったときには相続放棄を検討してみましょう。
相続した家を遺産分割で分割する方法について検討しましょう。
現物分割
現物分割とは、相続した家の現状を変えないで相続する分割方法をいいます。 例えば、家・車・預貯金とあって、相続人が妻・子ども2人である場合に、家を妻が、車を子どものうちの一人が、もうひとりが預貯金を相続するという方法です。 遺産の大多数の価値が家であるような場合にはこれでは不公平という場合も発生します。 ただ、家といっても、母屋と離れがあってそれぞれ独立することが可能な場合や、敷地がものすごく広くて分筆登記によって土地と土地建物に分けられるような場合には、分けたうえで相続することもできます。
換価分割
換価分割とは、相続した家をお金に変えて、そのお金で分割する方法をいいます。 お金という分けやすい資産にかえることで不公平はなくなりますが、当然その家は相続できなくなります。
代償分割
代償分割とは、家を相続する代わりに、他の相続人に金銭を支払うなどして分割する方法をいいます。 遺産の大部分が家であるような場合には、その家を相続する方が遺産の価値のほとんどを相続することになります。 これでは不公平なので、家を相続した方が他の相続人に対してお金を払う方法で解決をします。
共有分割
共有分割とは、家を共有名義で相続する方法をいいます。 不動産の所有権は必ず単独でしなければならないというものではなく、所有権を共有名義にしておくことも可能です。 よくあるのが、誰も使わなくなる空き家があったり、家ではないですが山奥の山林の所有権があるような場合に、争いにならないように共有分割としておくようなケースです。 だれか一人が使用するような場合には、他の共有者の共有持分権を侵害する、などでトラブルになるケースや、いざ売却しようとしたときに足並みが揃わないということがあるので注意が必要です。
相続放棄
以上のように家がある場合の分割方法は様々で、遺産がどのような構成をしているか、相続人がそれぞれどのような主張をしているか、でいろいろなパターンが考えられます。 そのため、その相続を巡って争いになることもよくあります。 相続放棄をすると、相続開始のときから相続人ではなかったという扱いになるため、遺産分割協議に参加しなくてもよくなります。
家の相続でつまずいたときの相談先
- 相続でつまずいたときに相談をする専門家について
相続の話し合いがうまくいかない場合には専門家に相談をしたいのですが、相続を専門とする士業の方もたくさんいて、どなたに相談をすればいいかわからないんですが…。
それぞれの専門家がどのようなことをしているかについて確認しましょう。
家があるかどうかに関わらず相続の話し合いがうまくいかない場合には、専門家の知恵を借りることが望ましいといえます。 ただ、相続に関する専門家には様々な方がいるので、いったい自分は誰に相談すればいいのかがわからなくなることもあります。 どの専門家にどのように相談するのが適切かについて、まとめてみましょう。
司法書士・行政書士
司法書士・行政書士は相続に関する手続業務を仕事にしている関係上、相続に関する相談をうけています。 司法書士は不動産等の登記が専門ですので、家を相続する際の家の登記に関する手続きや必要書類については、司法書士に相談するといいでしょう。 行政書士は相続に関する書類作成等の手続きを全般的に請け負っていますので、金融機関への届け出に必要な書類作成、自動車を相続した場合の名義変更手続きの書類作成などを依頼できます。
しかし、遺産分割の話し合いがうまくいっていない状況だと、司法書士・行政書士が行えることは限られています。 とくに、遺産分割協議の話し合いの代理をすることはできないことになっているので(仮に行うと弁護士法72条違反になる場合があります)、遺産分割協議の話し合いの局面でうまく進んでいない場合には、最終的な解決手段の相談は難しいといえます。
弁護士
弁護士は遺産分割協議の代理などの権限を持っています。弁護士であれば、遺産分割の交渉や遺産分割協議書の作成などほぼ全ての手続きを依頼できます。 遺産分割協議が上手くいかない原因として、当事者が熱くなってしまって、遺産上の請求以上のすれ違いが生じていることがあります。 弁護士に相談をすることでどのような主張が法的に適切なのかを冷静に検討することができますし、依頼をして遺産分割協議を代わりに行ってもらうことで、相手との緩衝材になってもらうこともできます。
税理士
相続税の基礎控除を超えるか、どのように相続税の申告・納税を行うかについての知識が必要であれば税理士に相談するのがいいでしょう。 相続税の申告・納税には10ヶ月の期間がある…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、遺産分割の話し合いが長引くと、小規模宅地等の特例などが利用できないような場合もあります。 残り期間3ヶ月を切ってから相続税申告を依頼する際には、割増の報酬を請求されることもありますので、相談は早めに行うのがいいでしょう。
不動産屋
不動産を売却してしまう、賃貸するなどの利用を考えている場合には、不動産屋に相談するといいでしょう。 不動産をどのように取り扱うかについては遺産分割の話し合いがある程度進んでから話し合うこともあるので、弁護士などの士業にすでに相談しているならば、不動産屋を紹介してもらえることもあります。 相続を得意にしている士業は、不動産会社なども含めて協力関係をつくっていることもあるので、信頼できる不動産会社を紹介してくれるでしょう。
行政
空き家にしてしまうような場合で、地方などで売却が難しいような場合があります。 行政では地方創生や移住支援などの一環として、空き家についての情報をまとめて公開しているようなことがあります。 売却が難しいような場合には行政に対応する部署があれば相談をするようにしてみましょう。
まとめ
このページでは、遺産に家があるような場合に、どのようなことを話し合って、何を決めなければいけないのかについてお伝えしてきました。 資産価値の高い家・土地があるような場合には、話し合いが難しくなるようなことがあります。 遺産分割の話し合いが難航した場合は、弁護士に相談してうまく解決を目指すようにしましょう。
- 亡くなった親に借金があるかもしれない
- 親と疎遠のため、財産を相続する気がない
- 相続税が払えないため家などの不動産を相続したくない
- 自営業を引き継ぎたいが借金がある
無料
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