- 遺言書の内容に納得がいかないケース別の解決方法
- 弁護士に依頼をすると法的な援助が受けられる
- 弁護士に依頼をすると相続当事者同士の争いが激しくなることを回避することができる
【Cross Talk 】遺言書がみつかったのですが、内容に納得がいきません。
遺言書についてのご相談です。母が亡くなり遺言書が見つかったのですが、私にとってとても不利な内容でした。よくよく遺言書を確認すると、作成した日付があるのですが、その頃にはすでに認知症の症状がありました。遺言書の内容について争うことはできませんか?
遺言書の内容に争いがある場合の解決方法を確認しましょう。
是非お願いします。
被相続人が亡くなった時に遺言書があると、遺言書の内容に従うことになります。その遺言書に納得がいかない場合にはどのように解決するのでしょうか。遺言書の内容に納得がいかない典型的なケースごとに解決方法を確認しましょう。
遺言書の内容に納得がいかない!ケース別の解決方法
- 遺言書の内容に納得がいかないケース
- ケース別の解決方法
遺言書の内容に納得いかない場合の解決方法とはどのようなものですか?
ご相談のように、遺言書の当時の意思能力が問題になるような場合の他にも、遺言書の内容に納得がいかないケースがありますので、あわせて確認しましょう。
遺言書の内容に納得いかない場合には、どのような解決方法があるのでしょうか。 「遺言書の内容に納得いかない」ケースにもよるので、典型的な3つの例について確認しましょう。
遺言書が法律の定める方式に違反しているので無効
遺言書が民法の定める方式に違反しているため、無効となるケースがあります。 例えば、自筆証書遺言で、日時を記載すべきところ、きちんとした日時を記載していない場合です。 通常は、令和3年1月1日と記載すべきところ、「令和3年の私の誕生日に」「令和3年吉日」などと曖昧な記載がされていることがあります。「令和3年の私の誕生日に」であれば、まだ日付が特定できるため有効なのですが、「令和3年吉日」はいつ記載したか特定できないので無効となります。 その他にも、遺言書には形式があり、その形式を守っていないような場合には無効となることがあります。 このような場合には、遺言書の無効を他の相続人に交渉し、どうしてもその遺言書どおりの相続しか認めないという相続人・受遺者がいる場合には、遺言無効確認の訴えを起こします。
遺言書を作成できる状況ではないはずだった
遺言書を作成するときには、自分の遺言書によってどのような結果となるか認識できる能力である遺言能力が必要です。遺言能力がないと判断できる場合には遺言書が無効になります。 ご相談者様のケースのように、遺言者がすでに認知症になっていたり、非常に高齢で判断能力がないような場合には、遺言書は無効とされる可能性があります。この問題は自筆証書遺言や秘密証書遺言で発生することが多いのですが、過去には公正証書遺言においても遺言能力がないと判断された判例もあります。 判断能力があるかどうかについては、認知症の進行度を示す、長谷川式スケール(長谷川式認知症スケール)の点数等を参考に判断されます。
一般的に20点以下になっている場合には認知症とされる可能性が高いのですが、これをもってただちに遺言書能力がないとするものではありません。 10点代であるような場合には半々くらいで遺言書能力が否定され、一桁になるとほとんどのケースで遺言書能力が否定されます。その他にも、医師による診断書・頭部画像初見(CT・MRIなど)・介護記録など合わせて、遺言能力がないと判断できる場合には、遺言書の効力が否定されます。 このような理由から遺言書の内容に納得がいかない場合には、医師と相談しながら遺言能力がなかったとして、他の相続人と交渉し、遺言無効確認の訴えを起こします。
遺産分割の方法に指定があるが相続人全員が納得いっていない
相続人が複数いる場合には、法定相続分にしたがった相続がされますが、遺言書で遺産分割の方法が指定されている場合には、遺言書に記載された内容が優先します。 しかし、受遺者がおらず、相続人全員が遺言に記載された遺産分割方法に納得いかないようなケースもあります。 このような場合には、遺言書の内容には従わず、相続人全員の合意のもと遺産分割を行うことが可能です。 詳しくは、 「遺産分割協議で全員が合意すれば遺言の内容と違う分配も可能?」で詳しく解説していますので参考にしてください。自分の相続分だけ不当に少ない
遺言書によって、自分の相続分だけが不当に少ないような場合があります。 遺言書で、法定相続人の一部に保障された遺留分よりも少ない額の相続しかできなかった場合には、遺言書で遺産を得た人に対して遺留分侵害額請求をすることができます。 遺留分侵害額請求ができる場合には、相手に内容証明を送る、応じなければ遺留分侵害額請求調停を起こし、それでも納得がいかない場合には訴訟を起こします。 遺留分については、「遺留分とは?相続分との違いは?遺留分は親や孫にも認められる?」で詳しく解説していますので参照してください。遺言書の内容に納得がいかない場合に弁護士に依頼するメリット
- 弁護士に依頼すれば法律的な助力を受けることができる
- 相続人の間で争うことによって感情的な対立になるのを回避することができる
遺言書の無効を相手に主張するのですね。何かコツはありませんか?
相続人だけで交渉をすると、単なる請求以上に感情的な対立になってしまって解決が遠のくことにもなりかねません。弁護士が間に入ることで感情的な対立を避けることが可能な場合があります。
遺言書の内容に納得がいかない場合に、他の相続人と交渉するにあたって、弁護士に依頼することには次のようなメリットがあります。
法律的なサポートを受けられる
当然ですが、弁護士は法律・手続きのスペシャリストなので、依頼をすれば法律・手続きにおけるサポートを受けることができます。争いが激しくなりすぎることを回避することができる
遺言書・相続の問題は、単純な請求というだけではなく、相続人相互の感情的な対立も引き起こしかねません。 そのため、法的な内容について相手の主張が正しいと思っていても、感情的になってしまって話がまとまらないということもしばしば発生します。 弁護士が間に立ったり、相互に弁護士を立てて交渉をすることで、このような感情的な対立を回避することができる可能性があり、スムーズな解決につながります。まとめ
このページでは遺言書の内容に納得がいかない場合の対応方法についてお伝えしました。 ケースによって解決方法も異なるので、遺言書の内容に納得がいかない場合には、早めに弁護士に相談してみるようにしましょう。
- 遺言書が無効にならないか不安がある
- 遺産相続のトラブルを未然に防ぎたい
- 独身なので、遺言の執行までお願いしたい
- 遺言書を正しく作成できるかに不安がある
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