- 未成年後見人は未成年者の法律行為や財産管理などを行う
- 家庭裁判所に申立てをして選任する方法と、遺言で指定する方法がある
- 遺言で未成年後見人を指定した場合、後に市区町村役所で手続きをしなければならない
【Cross Talk 】未成年後見人は遺言で指定できるの?
私が亡くなった後に備えて、未成年後見人を指定しようと思うのですが、遺言の中で未成年後見人を指定できるのでしょうか?
未成年後見人は裁判所に申立てをするほか、遺言で指定することもできます。遺言で指定する場合、相続後に市区町村役所で手続が必要です。
未成年後見人は遺言で指定できるんですね。遺言で指定する場合の注意点があれば教えてください!
親権者がいない場合、未成年後見人が法定代理人となって、未成年者のために法律行為や財産管理などを行います。 未成年後見人を遺言で指定する場合、裁判所に申請して未成年後見人を選んでもらう場合とは異なる手続きがあるので、注意が必要です。 そこで今回は、未成年後見人を遺言で指定する場合の手続や注意点について解説いたします。
未成年後見人とは
- 未成年後見人は法定代理人として、未成年者の法律行為や財産管理を行う
- 未成年後見人を選任するには、家庭裁判所に申立てる方法と、遺言で指定する方法がある
未成年後見人になってくれと頼まれたのですが、どのようなことをするのですか?
未成年後見人は未成年者にかわって法律行為や財産管理などを行います。家庭裁判所に申立てをして選任してもらう方法と、遺言で指定する方法があります。
未成年後見人とは
未成年後見人とは、未成年者に対して親権を行う者がないときなどに、未成年者の法定代理人となる者です。未成年者の法定代理人は、未成年者の利益を保護するために、未成年者にかわって契約などの法律行為を行ったり、財産を管理したりする権限を持っています。未成年者の法定代理人となるのは、原則として未成年者の親などの親権者ですが、親権者が亡くなった場合は、未成年者の法定代理人が存在しない状態になってしまいます。 そこで、遺言などによって未成年後見人を選任することで、未成年の利益を保護する必要があるのです。 未成年後見人に就任した者は、未成年者の法定代理人として、未成年者のために法律行為や財産管理を行えるようになります。
どのような場合に未成年後見人が選任されるか
未成年後見人が選任されるケースは、以下の2通りのパターンがあります。・遺言で未成年後見人を指定する
申請が受理されて審理が始まると、家庭裁判所が未成年者本人や後見人の候補者と面談や、未成年者の親族へ意向照会などが行われます。 裁判所によって未成年後見人が選ばれると、選ばれた未成年後見人に審判書が送付されます。 家庭裁判所に選任された未成年後見人の場合、裁判所の管理の下で、財産管理の報告などを行わなければなりません。
家庭裁判所に申立てをして選任する場合、裁判所がきちんと判断してくる反面、未成年後見人の事務の負担が大きいのが特徴です。未成年後見人を遺言で選任する場合
裁判所に申立てをせずに、未成年後見人を遺言で選任する方法もあります。 未成年後見人を遺言で選任する場合、家庭裁判所による判断がないので、未成年者や行方不明者などの一定の例外をのぞいて、基本的に誰でも未成年後見人になれます。また、遺言で選任する場合は、未成年後見人は裁判所の管理下に置かれないので、裁判所に対する財産管理の報告などはありません。 遺言による場合、未成年後見人を自由に選任できる反面、未成年後見人の不正を防止しにくいので、誰を選任するかは慎重に判断しましょう。
未成年後見人を遺言で指定する場合の注意点
- 未成年後見人を遺言で指定する場合、公正証書遺言がおすすめ
- 未成年後見人を遺言で指定したら役所での手続が必要
未成年後見人を遺言で指定しようと思うのですが、どのような注意点がありますか?
未成年後見人を遺言で指定する場合、自筆証書遺言にすると様々なリスクがあるので、なるべく公正証書遺言にするのがおすすめです。役所での手続も忘れないようにしましょう。
未成年後見人を指定する場合の書き方
遺言書で未成年後見人を指定する場合、誰のための未成年後見人として、誰を指定しているのか明確に記載することが重要です。 未成年後見人を指定するのに決まった書式はありませんが、誰であるかを特定するために、一般に以下の情報を記載します。・未成年後見人の氏名・生年月日・住所・職業など
遺言の種類は問わないがなるべく公正証書遺言で行う
未成年後見人を指定する場合、遺言の種類に制限はありませんが、なるべく公正証書遺言で行うことをおすすめします。公正証書遺言とは、公証役場で手続きをして作成する遺言書です。 公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるので、遺言書を紛失したり、他人によって破棄・改ざんされたりなどの心配がありません。 また、公正証書遺言は公証人が、遺言者の意思や状態などを確認したうえで遺言書を作成してくれるので、きちんとした内容で遺言書を作成しやすいのもメリットです。
自筆証書遺言は公証役場で手続きをしなくても、自分で遺言書を作成できますが、要式を満たさなければ無効になってしまうほか、複数のデメリットがあるので注意しましょう。 自筆証書遺言の場合、原則として自分で保管場所を確保しなければならないので、遺言書の紛失や、他人に遺言書を改ざんされたりなどのおそれがあります。また、自筆証書遺言は原則として、裁判所で検認という手続きをしなければなりません。 検認の手続をする間に、未成年後見人の就任に時間がかかってしまい、しばらく親権者が不在になってしまう可能性があります。 自筆証書遺言で未成年後見人を指定する場合、上記のようなリスクがあるので、なるべく公正証書遺言を利用するのがおすすめです。
遺言による未成年後見人の選任の手続き
遺言によって未成年後見人を選任したら、その旨の届出をしなければなりません。 届出は、未成年後見人が就職してから10日以内に、未成年者の本籍地または後見人の所在地の市区町村役所に提出します。 詳細は手続や提出先によって異なる場合がありますが、一般的な必要書類は以下の通りです。・戸籍謄本
・遺言の謄本(原本)
・印鑑
未成年者の後見届とは、未成年後見人についての申請用紙で、当事者の氏名・住所・本籍地などを記載します。
未成年者の後見届の名称や書式は、市区町村役所によって異なる場合がありますので、あらかじめ管轄の市区町村役所に確認しておきましょう。 戸籍謄本は、未成年者と未成年後見人それぞれのものが必要です(本籍地以外に届出をする場合)。 公正証書遺言の場合、遺言書の謄本を提出します。自筆証書遺言の場合、遺言書の原本だけでなく、原則として裁判所の検認証明書も必要なので注意しましょう。まとめ
未成年後見人は未成年者の法定代理人であり、未成年者にかわって法律行為や財産管理などを行います。 遺言によって未成年後見人が指定された場合、相続後に管轄の市区町村役所で手続きをしなければなりません。未成年後見人を遺言で指定する場合、家庭裁判所による選任や管理がないので、誰を選ぶかは慎重に判断しましょう。 誰を未成年後見人にすべきか悩んでいる場合は、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
- 判断力があるうちに後見人を選んでおきたい
- 物忘れが増えてきて、諸々の手続きに不安がある
- 認知症になってしまった後の財産管理に不安がある
- 病気などにより契約などを一人で決めることが不安である
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