- 疎遠であっても法律上相続人である場合には遺産分割協議に加わってもらう必要がある
- 疎遠であるからといってその相続人抜きで遺産分割協議をしても無効
- 相続の話し合いに参加してもらう場合の手紙の文例
【Cross Talk 】疎遠な子どもがいる場合の相続はどうなりますか?
先日父が亡くなり母・私で相続をすることになりました。父は再婚で前婚の時にも子どもが一人いたということを聞いています。法律上は父の子どもでも、もう疎遠になってしまっているような子どもがいる場合には何も知らせないで相続を始めてしまって良いですか?
いいえ。疎遠であっても法律上の子どもである以上は相続人で、その方を抜いて遺産分割協議をしても後の手続きができません。
なるほど…詳しく相談にのってもらえますか?
相続をするというと、親しい身内同士で行うことが多いのですが、再婚している家庭のように、法律上は相続人であっても疎遠であるようなこともあります。 このような場合でも子どもである以上は相続人として遺産分割協議に加わってもらうようにしなければなりません。 電話番号などが分からないことも多いのですが、住所は分かるので、手紙を出すことが一般的ですが、どのような手紙を出すべきか文例などを確認してください。
疎遠な相続人がいる場合の相続における法律関係
- 相続人となるためには疎遠かどうかは関係ない
- 疎遠であるからとその相続人を除外して遺産分割をしても手続きが前に進まない
疎遠な相続人をどうして相続に加えなければならないのでしょうか。
はい。法律上、子どもである以上は相続人であるからです。
疎遠な相続人がいる場合の相続に関する法律はどのようになっているのでしょうか。
疎遠な相続人が居るケース
疎遠な相続人が居る典型的なケースが、今回のご相談者様のように、被相続人が離婚をしており、前婚で子どもがいたケースです。 家族はおろか、被相続人本人も全く連絡もとっていないということもあり、連絡先すらわからないということも珍しくありません。 また、被相続人に子どもがおらず、高齢で亡くなったときに、すでに両親・兄弟姉妹も亡くなっており、おい・めいが相続人になったようなケースでも、相続人の間で交流がないことがあります。疎遠な相続人抜きで相続手続きをするとどうなるか
もし、疎遠な相続人抜きで相続手続きをするとどうなるのでしょうか。 不動産の所有権の移転や、銀行口座の解約、自動車の名義変更などの相続手続きをするにあたって、前提として相続人全員で遺産分割を行います。 遺産分割協議を行った場合には遺産分割協議書を作成しますが、ここには全員の署名と押印が必要です。 相続人全員による遺産分割協議がされていない場合には、その遺産分割協議書を使って手続きをしようと思っても、手続きの受付をしてもらえません。 そのため、たとえ疎遠であっても、共同相続人抜きで相続手続きを行うことはできないのです。疎遠な相続人と連絡を取る方法
では、疎遠な相続人とどうやって連絡を取れば良いのでしょうか。 まずは、相続人の確定作業を行うにあたって、戸籍の取り寄せを行うことになります。 本籍地と同じ市民課で戸籍の附票というものを取得することができ、戸籍の附票に現在の住所が記載されていますので、この住所に手紙を出すことによって連絡を取ることが可能です。疎遠な相続人に手続き参加のお願いの手紙の文例
- 手紙に何を記載すべきか
- 相続手続きに参加してもらうお願いをする手紙の文例
疎遠な相続人の住所がわかった場合、どのような内容のお手紙を送れば良いでしょうか。
どのような事項を記載すべきかと、トラブルになってしまうような事例も踏まえて、文例を確認してみましょう。
では、実際にどのような手紙を送るのが良いでしょうか。
手紙で何を伝えるのが良いか
まず、何を伝えるべきかを確認しましょう。
- 被相続人が亡くなったこと
- 被相続人が亡くなった日時(相続放棄をするのに必要となります)
- 差出人が誰にあたるか(共同相続をする関係者であることを示す)
- なぜ手紙を出したか(相続手続きに参加してほしい旨)
- どうやって住所を知ったか(戸籍の附票を利用したこと)
- 連絡先といつまでに連絡が欲しいか(相続税申告などが迫っている旨も記載)
トラブルになる手紙の出し方
相続人となるくらいですから、通常は親しい親族なのですが、疎遠となった場合には何かしら理由があると考えられます。 そのため、手続きに必要だから…と勝手に遺産分割協議書を作成して、遺産分割協議書に押印だけを迫るような内容であるとトラブルになる可能性があります。
同様に、実印と印鑑証明を預けてほしいというような手紙を送る方もいるのですが、こちらもトラブルになりかねません。 相続人になるということは、本来は近親者であるのですから、それが疎遠になっている理由を想像すれば、配慮のない一方的な手紙はトラブルにつながりかねないといえます。
相続手続きに参加してもらうお願いをする手紙の文例
相続手続きに参加してもらうお願いをする場合の文例です。
まとめ
このページでは、疎遠な相続人がいる場合の相続における関係と、疎遠な相続人に出す手紙の文例についてお伝えしました。 疎遠であっても相続人となる人がいるのであれば、どうしても手続きに参加してもらう必要があります。 ぜひ連絡をとるための参考にしてください。 また、戸籍の取得方法がよくわからなかったり、ご自身で連絡をとることに抵抗があったりする場合には,弁護士にご相談することをお勧めいたします。
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