- 遺言書の付言事項やエンディングノートは、法的な効力は認められない
- 付言事項やエンディングノートで葬儀や埋葬方法を指定する場合、あくまでお願いという形になる
- 葬儀や埋葬方法をきちんと実行してほしい場合は、死後事務委任契約を結んで指定する方法もある
【Cross Talk 】葬儀や埋葬方法について、遺言書で指定できるの?
葬儀や埋葬方法にこだわりがあるので、遺言をしようと思います。遺言書に書いておけば大丈夫ですよね?
葬儀や埋葬方法について遺言書に記載しても、法的な効力は認められないので、あくまでお願いという形になります。遺言書以外の代替方法もありますよ。
遺言書に書いておくだけでは、お願いにしかならないんですね。代替方法について詳しく教えてください!
お別れの会や樹木葬など、葬儀や埋葬方法について様々な選択肢が登場しています。 自分の死後に備えて、葬儀や埋葬方法をあらかじめ指定しておきたいと考える場合があるでしょう。 死後について指定する方法として、遺言書があるだろうと考えるかもしれません。ところが、遺言書で葬儀や埋葬方法について指定しても、法的な効力は認められないのです。 葬儀や埋葬方法について指定するには、遺言書以外の方法を検討する必要があります。 そこで今回は、葬儀や埋葬方法について指定したい場合の代替方法を見ていきましょう。
葬儀や埋葬方法は遺言書で指定できない
- 葬儀や埋葬方法を遺言書に記載した場合、付言事項にあたる
- 付言事項には法的な効力が生じないので、指定できない
葬儀や埋葬方法にこだわりがあるので、遺言書に記載しておこうと思います。
残念ですが、葬儀や埋葬方法について遺言書に記載しても法的な効力が認められないので、必ずしもきちんと実行してくれるとは限りません。
遺言書で指定して法的な効力が生じるのは遺言事項のみ
遺言書で指定することで法的な効力が生じるのは、遺言事項(法定遺言事項)についてのみである点に注意しましょう。遺言書に記載される事項は、遺言事項と付言事項の2種類があります。 遺言事項とは、遺言書に記載することによって、法的な効力が発生する事項のことです。 民法の要式を満たした場合、遺言書には様々な法的効力がありますが、遺言書に記載した全ての事項について、法的な効力が認められるわけではありません。
遺言書に記載することで法的な効力が認められるのは、遺言事項に限られます。 遺言事項には様々な種類がありますが、遺言書に記載される代表的な遺言事項は、相続分の指定(誰がどの遺産をどのくらい相続するかなどを指定すること)です。
例えば、「長男が預貯金を相続し、次男が土地を相続する」旨が遺言書に記載されている場合、相続分の指定にあたるので、遺言事項として法的な効力が認められます。 どのような事項が遺言事項にあたるかは法によって限定されており、遺言事項にあたらないものは、遺言書に記載したとしても法的な効力が認められません。 この点、葬儀や埋葬方法は遺言事項にあたらないので、遺言書に記載しても法的な効力が認められないのです。
付言事項で記載しても法的な効力を生じない
遺言書に葬儀や埋葬方法について記載しても、付言事項にあたるので、法的な効力が生じない点に注意しましょう。遺言書に記載される事項のうち、法的な効力が発生することを目的としないものを、付言事項といいます。 付言事項は主に、遺族にあてたメッセージ・遺言書を作成した経緯や理由の説明・遺族へのお願いなどに用いられます。 付言事項には法的な効力が認められないので、付言事項としてどのようなことを記載するかは、基本的に遺言者(遺言をする方)の自由です。 遺言事項の記載に不備がある場合、法的な効力が認められない可能性がありますが、付言事項はそもそも法的な効力が認められないため、厳密な記載は要求されません。
また、付言事項を記載せずに遺言書を作成することも可能です。 葬儀や埋葬方法について遺言書に記載した場合、遺言事項ではなく付言事項にあたるので、法的な効力は認められません。 法的には、遺言書に記載された通りに葬儀や埋葬を実行しなければならないわけではなく、あくまでお願いという形になります。
エンディングノートも何ら効力を生じるものではない
自分の死後に備えて記載するものとしてエンディングノートがありますが、付言事項と同様に、エンディングノートも法的な効力を生じるものではありません。エンディングノートとは、自分の死後や介護が必要になった場合などに備えて記載するノートです。エンディングノートを記載するための本や、ノートの書き方を解説する書籍などがあります。 エンディングノートの基本的な使い方は、遺族や友人などに伝えたいメッセージの記載や、遺産の分配や介護の方法など、自分の要望を記載したりなどです。
遺言書の記載事項と同様に、エンディングノートは基本的に書きたいことを自由に記載できます。 付言事項とエンディングノートの主な違いは、付言事項は主に自分の死後についてのみ記載するのに対し、エンディングノートは病気や介護など、生前についても記載することです。
エンディングノートの主な記載内容としては、以下のものがあります。・自分の来歴
・どの遺産を誰に引き継がせるか
・自分に介護が必要になった場合にどうしてほしいか
・自分の遺産や宝物の保管場所の記載
・葬儀や埋葬方法についての要望
葬儀や埋葬方法を指定したい場合の方法
- 付言事項やエンディングノートはあくまでお願いという形になる
- 死後事務委任契約を結んで、葬儀や埋葬方法を指定する方法もある
葬儀や埋葬方法について、付言事項やエンディングノートに記載しておこうと思いますが、きちんと実行してくれるか心配です。
付言事項やエンディングノートは法的な効力はないので、あくまでお願いという形になります。きちんと実行してほしい場合は、死後事務委任契約を結んで、葬儀や埋葬方法を指定しておく方法もありますよ。
あくまでお願いとして付言事項やエンディングノートの記載
葬儀や埋葬方法について、遺言書の付言事項やエンディングノートに記載する場合、法的な効力が認められないので、あくまでお願いという形になります。 附言事項やエンディングノートに記載された内容に従う法的な義務ではないので、葬儀や埋葬方法をきちんと守ってくれるかは、基本的に遺族次第ということです。付言事項とエンディングノートのどちらを利用するかは自由ですが、付言事項は遺言書の一部なので、短い文章で端的に記載するのが一般的です。 エンディングノートは基本的に自分の書きたいこと記載するものなので、葬儀や埋葬方法の詳細や、方法を選択した理由など、長めの文章を比較的に書きやすいと言えます。
死後事務委任契約を結んでおく
葬儀や埋葬方法を指定する場合、死後事務委任契約を結んでおく方法もあります。 死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後の事務について、第三者に委任する契約です。委任する事務の内容としては、一般に以下のものがあります。
・遺族や友人などに自分が死亡したことを連絡する
・生前に居住していた賃貸物件の退去手続き
・生活用品や家財道具の処分
・入院や介護など、未払いの債務の精算
死後事務委任契約を誰と結ぶか、どのような内容を契約として盛り込むかは、相続に関する知識や経験が重要なので、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
まとめ
葬儀や埋葬方法を指定したい場合、遺言書やエンディングノートに記載しても、法的な効力は生じません。 あくまでお願いという形になるので、指定した通りの方法で葬儀や埋葬方法を実行するかは、基本的に遺族次第です。 葬儀や埋葬方法についてきちんと実行してもらいたい場合は、死後事務委任契約を結んで、葬儀や埋葬方法について指定しておく方法もあります。
- 身近に頼れる人や家族がいないため、不安がある
- 家族や親族に負担をかけたくない
- 死後の手続きや葬儀などに具体的な要望がある
- 遺品整理の際に、身近な人には見られたくないものがある
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