- 家賃を受け取る権利が誰にあるのかを把握することが重要
- 遺産分割協議をする場合、家賃収入や遺産分割のバランスに注意する
- 準確定申告や相続税申告などの手続きが必要な場合がある
【Cross Talk 】家賃収入がある場合の相続のポイントは?
遺産の中に、家賃収入のある不動産が含まれているのですが、相続する場合のポイントを教えてください。
家賃収入のある不動産を相続する場合、家賃を受け取る権利が誰にあるのかを把握することが重要です。遺言書があると一般にスムーズですが、遺産分割協議が必要な場合は、遺産分割のバランスなどに注意しましょう。
家賃収入を受け取る権利や、遺産分割のバランスなどが重要なんですね。詳しく教えてください!
遺産の中に家賃収入のある不動産が存在する場合、家賃を受け取る権利が誰にあるのかを把握する必要があります。 また、遺産分割協議によって遺産を分配する場合は、家賃収入を含めて遺産分割のバランスに注意することも重要です。 そこで今回は、遺産の中に家賃収入がある場合の相続のポイントを解説いたします。
遺産に家賃収入がある場合に相続で決めなければいけないこと
- 家賃を受け取る権利が誰にあるのかを把握することが重要
- 遺言書がある場合は原則として遺言書により、遺言書がない場合は遺産分割協議による
家賃収入のある不動産を相続する場合、どのようなことを決めなければなりませんか?
遺言書がない場合、まずは家賃を受け取る権利が誰にあるのかを決めなければなりません。次に、不動産があると相続のバランスが悪くなる可能性があるので、遺産をどのように分割するかを決めましょう。
家賃を受け取る権利があるのは誰か
被相続人が亡くなって相続が開始した場合に、家賃を受け取る権利が誰にあるのかは、遺言書の有無によって異なります。法的に有効な遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従って相続が行われます。遺言書において、家賃収入のある不動産を誰が相続するか指定されている場合は、原則としてその相続人が家賃収入を受け取る権利を取得します。 例えば、相続人として長男と次男がいる場合に、「甲不動産(家賃収入のある不動産)は長男に相続させる」旨が遺言書に記載されている場合、甲不動産の家賃収入は長男が取得するのです。
遺言書がない場合は、遺産分割協議(遺産をどのように分割するか、相続人全員で協議をして決める手続き)によって、誰が家賃収入を得るか(誰が家賃収入のある不動産を相続するか)を決めます。 注意点として、相続が開始してから遺産分割協議が成立するまでの間に発生した家賃収入については、各相続人が相続分に応じてそれぞれ取得することになります。
例えば、被相続人が亡くなって相続が開始し(相続人は長男と次男の2人)、遺産分割協議が成立するまでに10万円の家賃が発生した場合で考えてみましょう。 長男と次男の相続分がそれぞれ1/2ずつの場合、10万円の家賃は長男5万円、次男5万円でそれぞれ取得することになります。 実際の分割方法としては、相続人の1人がまず家賃全額を受け取り、そこから各相続人に分配する方法があります。
遺産に不動産があると遺産の相続割合のバランスが悪くなることも
遺産に不動産がある場合、相続割合のバランスが悪くなる可能性がある点に注意しましょう。 特に、他の遺産に比べて不動産の価格が高い場合は、相続割合のバランスが悪くなる可能性があります。例えば、長男と次男の2人が相続人であり、遺産として1,000万円の不動産と500万円の現金がある場合で考えてみましょう。 長男が不動産を相続し、次男が現金を相続するとした場合、それぞれ別の種類の遺産を一つずつ相続するため、一見するとバランスが取れているように見えます。
しかし、遺産の価格を比較すると不動産は1,000万円であり、現金は500万円なので、不動産を相続した長男が500万円多いので、価格としてバランスの悪い相続になってしまうのです。 遺産に不動産がある場合については、バランスの取れた相続をしやすいように、不動産も含めてそれぞれの遺産の価値に留意することが重要です。
不動産の分割方法
不動産の主な分割方法として、現物分割・代償分割・換価分割があります。 遺産として不動産がある相続においてバランスを取るには、不動産の分割方法が複数あることを知っておき、適した方法を選ぶことが重要です。現物分割とは、文字通りに遺産を現物で分割する方法です。 例えば、遺産として2つの不動産(甲不動産と乙不動産)がある場合に、長男が甲不動産を相続し、次男が乙不動産を相続するなどです。
代償分割とは、ある相続人が不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法です。 例えば、長男と次男の相続分がそれぞれ1/2ずつの場合に、長男が400万円の不動産を相続し、次男が200万円を相続するとします。 長男が次男に100万円を支払うと、取得した遺産の価格の合計がそれぞれ300万円ずつになるので、平等な価格での相続が可能になります。
換価分割とは、相続した不動産を売却し、売却代金を相続分に応じて分配する方法です。 例えば、相続人として長男と次男がいる場合に、遺産の不動産を1,000万円で売却し、売却代金から長男と次男がそれぞれ500万円ずつ取得するなどです。
遺産に家賃収入がある方がもめずに相続するための方法
- 遺産分割協議をする場合は、家賃収入と遺産分割のバランスに注意する
- 相続に伴って、準確定申告や相続税の申告などが必要な場合がある
家賃収入がある場合に、相続人がもめずに相続するコツはありますか?
遺言書がなく遺産分割協議が必要な場合は、家賃収入をどうするかと、遺産分割のバランスをどう取るかに注意して協議をしましょう。
遺産分割協議のポイント
家賃収入がある場合の遺産分割協議のポイントは、家賃収入をどうするかと、不動産による遺産分割のバランスをどう取るかです。 遺産の中に、家賃収入がある不動産が存在する場合、不公平が生じないように、将来の家賃収入による利益も考慮しつつ、誰が相続するかを決めるのがコツです。また、家賃収入の有無に関わらず、遺産に不動産がある場合は、遺産分割のバランスが悪くなりがちです。 不動産を相続して使用したい相続人がいる場合は、代償分割によってバランスを取ったり、不動産が不要な場合は売却して換価分割にしたりなど、様々な方法があります。
相続人の間でトラブルを防止するには、どのように遺産を分割するかについて、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談することもおすすめです。
必要な手続き
2-1)準確定申告不動産の家賃収入がある場合に一般に必要な手続きとして、準確定申告・相続登記・相続税申告があります。
相続発生日までに発生した家賃収入がある場合は、原則として準確定申告が必要になります。 準確定申告とは、納税する方が亡くなった場合の確定申告の手続きであり、原則として、相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内に申告をしなければなりません。
2-2)相続登記相続登記とは、不動産を相続した場合に、不動産の登記名義を被相続人から相続人に変更するための手続きです。
例えば、被相続人名義の不動産を長男が相続した場合に、不動産の登記名義を長男に変更します。
2-3)相続税申告相続税申告とは、相続によって相続税の課税対象になる場合に、相続税を申告して納税する手続きです。 相続した遺産の総額が基礎控除額の範囲内の場合は、原則として相続税の申告は不要です。ただし、各種の特例を適用する場合などは、相続税の申告が必要な場合があるので注意しましょう。
まとめ
このページでは、遺産の中に家賃収入がある場合の相続について解説いたしました。 遺産の中に、家賃収入のある不動産が存在する場合、誰に家賃を受け取る権利があるかを把握することが重要です。 遺産分割協議によって、家賃収入のある不動産を誰が相続するかを決める場合は、遺産分割のバランスに注意しなければなりません。 他の相続人に差額を支払う代償分割や、不動産を売却して代金を分配する換価分割など、バランスを取るための方法は様々です。 相続をめぐってのトラブルを防止するには、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
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