- 土地に価値がある場合の遺産相続のトラブル事例
- 土地を使う人がいない場合の遺産相続のトラブル事例
- 子がいない場合の土地の相続はトラブルになりやすい?
【Cross Talk】土地の相続でトラブルに!?
私の母が亡くなり子2人で相続をすることにしました。すでに亡くなっていた父と母は東京の一等地に住宅を購入しており、ここには兄が同居していました。 ずっと住宅があったのでそのまま兄が暮らすことになるのはわかるのですが、かなり価値のある財産なので独り占めするのはどうかと思っています。 その上で銀行預金を半々というのでは私がものすごく損をしている気がします。
銀行預金を多めに貰うなどの主張はしてもいいかもしれませんね。このように遺産に土地が含まれる場合の相続にはトラブルが起きやすいです。
亡くなった人が地主であるとか、不動産投資をしているような場合だけではなく、住宅を購入していたような場合には土地が相続財産に含まれることになります。 日本においては住居に適した土地が限られているという特殊な事情もあり、土地は高額な財産になりがちです。そのため住宅を持っている一般の家庭では、遺産の一番大きな部分を占めるのが土地・建物であるということも珍しくありません。そのためトラブルも起きやすいといえます。 どのようなトラブルが起きがちなのか、回避のための方策はあるのかといったことを知りましょう。
相続によって土地が共有になることによって生じるトラブル
- 土地がトラブルになりやすい原因を知る
- 実際の事例と対処法を知る
そもそも土地が相続財産にあるとなぜトラブルになりやすいんですか?
預金のように分けやすいものでないのが土地です。 みんなで住むという性質のものではないので、誰が使うのかという問題や、誰も使わないのであれば管理や固定資産税の支払いをどうするのか、といった問題が生じやすいのです。
まず、土地が共有になることによってトラブルが生じる理由とケース・対応策について知りましょう。
なぜ土地の遺産相続はトラブルになりやすいか
なぜ土地の遺産相続はトラブルになりやすいのでしょうか。 まず、土地の資産価値が高い傾向にあることが挙げられます。土地といっても誰も入ることが想定できないような山林から、都心の一等地まで様々な種類があります。 日本は国土のうち住居に適した土地が比較的少ないこともあって、住居に適した土地の価格は比較的高いといえます。
そのため、居住に適した土地を所有している場合にはその価値が大きくなり、遺産の大部分を占めるということは珍しくありません。 その土地に建物が立っていて誰かが住んでいるような場合には、預金のように相続人で均等に分けるということもできませんし、誰か一人が住み続けるというのが通常です。
そのため、価値が大きなものを独り占めする人が出てくるということがよくあります。長男がそのまま家を継ぐという価値観ではそれでも良いでしょうが、現代においては、このような価値観で全てを解決しない場合もあります。また、もし土地に価値がない、あるいは価値はあっても誰も使わないような場合もあるでしょう。
例えば、両親が建てた住宅を相続しても、子が全員独立してそれぞれに住居を持っているような場合には空き家になります。 そのような場合でも、固定資産税の支払い・管理費用・手間などが発生するのですが、売るのも忍びないという場合もあるでしょう。
このような場合には固定資産税の支払いをどうするのか、管理費用をどうするのかといった争いが生じます。以下、事例とともに見てみましょう。事例1 土地の価値が高い場合
父A、母B、長男C、長女Dという家族構成で、父Aが死亡した場合の相続で、遺産は預金が200万円、土地建物の評価が1,800万円と評価された事例を検討しましょう。 母はすでに高齢で、家には長男Cの家族が同居をしています。一方、長女Dは結婚をして、子を設けた後に離婚して、現在は母子家庭として子と同居しています。
遺産の家については、母と同居している長男一家がそのまま利用すれば良いと考えていたため、特に相続対策も事前準備をしないまま父Aは亡くなりました。 長女Dとしては子の養育もあるのでできる限りの資産をもらいたいと考え、相続分である500万円分をなんらかの形で用意してもらいたいと主張します。しかし遺産のうち預金を全額渡しても200万円で、母Bおよび長男Cの預金を合計しても100万円程度しかないので、母Bと長男Cは減額を主張するも譲らずに、双方が断絶状態となってしまいました。
長年住宅ローンを頑張って支払った結果、残された遺産の価値として土地が大きな割合を占める一方、当事者たちは遺産として十分だったと思っていた預金が、実は十分ではなかったということになります。 このような場合には、遺言で相続分を変える指定をしておきつつ、生命保険を利用したりするなどして、分けやすい現金・預金を増やしておくことでトラブル回避は可能になります。
事例2 土地を使う人がいない場合
母A、長男B、次男Cという家族構成で、母Aが亡くなった場合のケースです。 長男Bと次男Cはそれぞれ独立して住居を構えており、母Aはすでに他界した夫と購入した自宅で暮らしていました。
そのため、母Aが保有していた土地・建物は、相続開始により空き家となってしまいます。 当初は、売るのも忍びないため残しておこうと、そのまま空き家にしていたのですが、相続人代表者として長男が固定資産税を払って管理をしていたところ、次男Bは「僕は次男なので」と固定資産税や管理費用の折半に応じません。
手を焼いた長男Bは次男Cに対して売却を持ちかけたのですが、、次男Cは「正月や集まる時には使うでしょ」と応じず、管理費等を巡ってトラブルに発展してしまいました。 空き家が発生するような場合は、固定資産税の軽減措置を受けることができないため、固定資産税が割高になります。
また、居住しない不動産は、維持をするのにも苦労をします。 不法侵入をする者が居ついたりすると、近隣からクレームが来るようなこともありますし、火事などが起きた場合に対処できないようなこともあります。 このような場合には、生前にリバースモーゲージを利用して、生活費用について子らの面倒を受けずに工面したり、体が不自由になった段階で売却して介護施設に入ったりするなどの対策を取ることも可能といえます。
配偶者と親や兄弟との共同相続で生じるトラブル
- 子がいない場合の土地の相続には注意が必要
その他にはどのようなトラブルがあるのですか?
特に注意すべきなのは夫婦に子がいない場合の土地などの相続です。
夫婦に子がいない場合に夫婦の一方が亡くなると、第二順位・第三順位の相続が発生します。
誰が相続人になるかについては、【具体例】誰が相続人になる?相続人の範囲や優先順位について解説!で詳しく解説しているのでそちらもご覧ください。
例えば、夫A・妻Bには子がおらず、夫Aの兄弟が3人居るとします。 夫が亡くなると妻Bと夫の兄弟3人との共同相続になります。 この時に相続財産に土地や建物があり、相続財産の大部分を占めているような場合には深刻なトラブルになりがちです。家族付き合いの程度にもよるのですが、兄弟の配偶者と密接な関わりまではないという家族も増えています。 そのため、相続することができるのであれば、なるべく多くの額をもらいたいという主張をされる可能性が高いのです。 遺産の大部分が土地であった場合には上述のように相続分に対応する金銭の支払いができなくなるということがあります。
このような場合には最終的に兄弟からの請求に応じるために不動産を売却せざるを得ないという事態にも陥りかねません。 兄弟姉妹が相続人であるような場合には、遺言書で配偶者に全部相続させるとしておけば、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、兄弟姉妹は何らの主張ができなくなります。 第二順位の相続で親が相続人であるような場合には遺留分がありますので、金銭的な解決が可能なだけの現金や生命保険を用意しておくのが妥当といえるでしょう。
まとめ
このページでは、遺産に土地がある場合の相続についてお伝えしてきました。 土地を相続する場合にトラブルになりやすい原因と、典型的なトラブル事例を見ていただけたと思います。 土地が分けづらいという特徴を知っておき、事前に遺言・預金の準備をしたり保険をかけておくなどの対策が必要かどうかを、弁護士に相談しておくのは賢い相続対策といえるでしょう。
- 遺産相続でトラブルを起こしたくない
- 誰が、どの財産を、どれくらい相続するかわかっていない
- 遺産分割で損をしないように話し合いを進めたい
- 他の相続人と仲が悪いため話し合いをしたくない(できない)
無料
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