1.遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言書に記載された内容を実現する権利義務を有する人のことをいいます(民法第1012条第1項)。
遺言執行者は、遺言者による指定や(民法第1006条)、利害関係人の請求によって家庭裁判所が選任することになっています(民法第1010条)。
2.遺言執行者になれない欠格事由について
仮に遺言執行者に指定されたとしても、未成年者及び破産者は、遺言執行者になることができません(民法第1009条)。
未成年者とは、民法第4条で、2021年2月現在では20歳とされていますが、2022年4月1日から施行される改正された民法のもとでは18歳となります。
破産者とは、自己破産手続き開始決定を受けて、復権をするまでの間の人をいいます。
3.遺言執行の内容
遺言執行者が行う遺言の執行の中身について確認しましょう。
3-1.財産目録の作成
遺言執行者は職務を行うにあたって、遺産の目録を作成して、相続人に交付する必要があります(民法第1011条)。
3-2.遺産の分配
遺言者が遺言書で指定した内容に従って遺産を分配します。
3-3.遺産を不法に占拠する者への明け渡しの請求
例えば不動産を不法に占拠している者がいる場合には、退去を求めるなどして、明け渡しを請求します。
3-4.受遺者への引き渡し
遺贈がある場合には、受遺者に遺産の引き渡しを行います。
不動産のように、不動産登記簿の名義変更が必要なものについては、移転登記を行います。
3-5.遺言認知の届出
子どもの認知は遺言書ですることができます(民法第781条第2項)。
認知は戸籍法の定めに従った届出によって行われることが定められており(民法第781条1項)、戸籍法では遺言執行者に就職して10日以内に認知の届出をすることが定められています(戸籍法第64条)。
3-6.相続人の廃除
推定相続人の廃除は、遺言書ですることができます(民法第893条)。
遺言執行者は遅滞なく家庭裁判所に廃除の請求を行なうことになります。
4.遺言執行者への報酬
遺言執行者への報酬については、
・遺言者が遺言書に報酬を定めたときには、遺言書のとおりに報酬を支払う
・遺産の状況その他の事情によって家庭裁判所が報酬を定める
としています(民法第1018条)。
遺言書に報酬が定められていない場合には、相続人と遺言執行者で話し合うのが通常で、決められない場合には家庭裁判所に定めてもらうことになります。
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