ケガの治療に伴う損害請求の項目を把握しましょう。
交通事故によりケガ・傷害を負った場合の損害を「人身損害」と呼び、治療費等の経済面での損害(財産的損害)と、治療に伴う精神的な苦痛に対する損害(精神的損害)を請求することができます。
ポイント
- 症状固定までの治療費や入院交通費等を、財産的損害として請求できます
- 治療や通院に伴う精神的な苦痛に対して、精神的損害として請求できます。
- 入院や治療のために働けなかった分を休業損害として請求できます。
目次
症状固定とは
交通事故の治療費等は病状固定した日を軸に計算されます。
症状固定とは,これ以上治療を続けてもケガの回復や改善が期待できなくなった状態のことをいいます。交通事事故では、事故発生から症状固定した日までの損害を傷害部分、症状固定した後の損害を後遺障害部分として区別します。症状固定をすると、基本的にはそれ以降の治療費等を請求することができないため、症状固定をするタイミングには注意が必要です。
治療関係費
治療にかかる費用を請求することができます。
治療費、治療器具代、入院費、通院交通費等を財産的損害として請求することができます。ヘルパー等の職業付添人の費用も、損害として認められる可能性があり、また、家族等の近親者付添人には入院の場合1日につき6,500円程度が被害者本人の損害として、請求することができます。保険会社によっては、治療関係費の補償を途中で打ち切られてしまうことがあります。その際は、弁護士が交渉することにより、未払いや打ち切られてしまった 治療費を支払ってもらえる可能性がありますので、お早めにご相談ください。
ケガ・負傷に対する慰謝料
精神的な苦痛に対する慰謝料を請求することができます。
ケガ・負傷したことによって生じる、精神的な苦痛に対する慰謝料を請求することができます。慰謝料の算出方法は、ある程度定型化されていますが、入通院期間を基礎に、慰謝料の金額は加害者側の事情(故意・過失の程度、謝罪の有無等)と被害者側の事情(傷害の部位、家族状況等)を考慮して算出されます。
休業損害
入院や治療で働けなかった期間に得られたはずの収入額を請求できます。
休業損害とは、交通事故でケガ・負傷し、入院や治療のために働けなかった分の損害のことで、次のような計算式で算定されます。
算定定式
休業損害=収入日額×休業日数
事故前の収入を基礎として1日あたりの実際の収入額を調べ、休業日数を乗じることにより算定します。
また被害者の就労状態により、算定方法が異なっております。
会社員・派遣社員の場合
事故前の給料を基に、事故によるケガ・負傷によって休業した分の収入減を算出します。有給休暇を使用した場合も損害として認められます。ボーナス等に影響した場合、その分も損害として認められる場合があります。
家事従事者(主婦・主夫)の場合
専業主婦等の家事従事者の方も、家事や育児ができなかった分を休業損害として加害者側に請求することが可能です。その場合の休業損害額は、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基に算出されます。男性の場合も、女性平均を用いることが通常です。また、パートやアルバイト等を兼業している家事従事者については、現実の収入額と女性労働者の平均賃金額の高い方を基に算出されます。
自営業の場合
前年度の収入(確定申告額)を基に算出されます。店舗家賃や光熱費等の事業経費は事業経費として支出がやむを得ない場合は損害として認められます。
失業者の場合
原則として休業損害は認められません。ただし、具体的な就職の予定がある場合等には、休業損害が認められる可能性があります。
学生の場合
原則として休業損害は認められません。ただし、アルバイト等による収入がある場合や、就職時期の遅延が生じた場合は、例外的に休業損害が認められる可能性があります。
保険会社から症状固定を催促された場合
症状固定の判断は医師にしかできません。治療が必要なら続けることが大切です。
治療を行っている途中で、保険会社から「そろそろ症状固定しましょう」や「これ以上、治療費は払えない」と連絡を受けてしまうケースがあります。症状固定はあくまでも医師が病状や患者の訴えを元に診断するもので、保険会社が決めることではありません。交通事故の賠償期間にも関わることですので、治療の必要性がある限り治療を続けることが大切です。弁護士にご相談いただければ、先に被害者請求を行い治療費を確保する等、アドバイスすることが可能です。
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