退職を促された場合の対応
正当な理由のない解雇は認められません。
会社側は合理的な理由がなければ労働者を解雇することはできません。もし不当に解雇された場合、解雇の無効を主張することが可能です。
ポイント
- 解雇を行うには合理的な理由が必要と法律で定められています。
- 「業績が悪い」だけの理由では、解雇が認められない場合があります。
- 解雇された場合は、解雇理由証明書と離職証明書を請求しましょう。
目次
解雇について
解雇が認められるのは法律の要件を満たした場合に限られます。
解雇とは、会社側が一方的に労働者との雇用契約を終了させることです。会社側が解雇を自由に行えてしまうと労働者の生活は不安定となるため、解雇を行うことについては法律で厳格な規定(合理性、正当性)が設けられています。
解雇の種類は3つに分類されます。
整理解雇
会社の経営上の都合により、人員削減(リストラ)が必要なときに行われる解雇です。会社側の都合で行われるため、より厳格な規定が定められています。
懲戒解雇
違法行為を犯すなど企業秩序を乱したことに対する制裁として行われる解雇です 。行うためには、就業規則で懲戒について明記されている必要があります。
普通解雇
整理解雇や懲戒解雇に該当しない場合の解雇です。「病気により業務を行えない」「著しく能力が不足しており、何度も指導や改善策を試みても見直されない」などが例としてあげられます。
また、解雇を行う場合は30日前までに解雇の予告をする必要があり、すぐに解雇を行う場合は解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払う必要があります。
不当解雇とは
さまざまなケースで不当解雇に該当する場合があります。
不当解雇とは、法令や就業規則に違反する解雇をいいます。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、解雇権を濫用したものとして解雇が無効となります。
- 「態度が気に入らない」という理由での解雇
- 国籍や宗教を理由にした解雇
- 結婚や妊娠を理由にした解雇
- 1回だけ遅刻をしたことを理由にした解雇
- 借金や自己破産を理由とした解雇
諸事情を考慮して不当な解雇なのかどうか判断する必要があるため、詳しくは弁護士にご相談ください。
解雇を伝えられた場合
安易に退職届けを出さず、解雇通告書の提出を求めましょう。
会社側から解雇を伝えられた場合、解雇理由証明書の交付を求めましょう。解雇理由証明書は会社側から一方的に解雇されたことを証明でき、解雇理由を明確にすることで、不当解雇ではないか確認することができます。もし退職届けを出してしまうと、自らの意思で退職したこととなるため注意が必要です。
不当解雇を争う方法
弁護士が介入し会社側と交渉、場合によっては労働審判や訴訟を行います。
不当な解雇である場合、労働基準監督署、労働組合や弁護士に迅速に相談しましょう。会社側には顧問弁護士がついている場合があり、個人が立ち向かっていくことはなかなか難しいです。
また、弁護士に依頼する場合でも、いきなり裁判所に介入してもらう労働審判や訴訟に進むより、まずは会社への解雇を撤回するよう交渉を行うケースが多いです。
交渉や審判などの結果、会社が解雇を撤回したり、裁判所から解雇が無効と判断された場合、もともと解雇自体なかったことになります。そのため、解雇後も雇用が継続されていることとなり、解雇後の給与を未払い給与として請求することができます。また、慰謝料としての損害賠償請求が認められる場合もあります。
賃金仮払いの仮処分
裁判で不当解雇を争う間の生活費を確保する制度です。
賃金仮払いの仮処分とは、主に裁判で不当解雇を争う場合に、判決が出る前に賃金の仮払いを請求する制度です。不当解雇の訴訟は判決までに1年ほどかかることもあり、生活資金を確保するために有効な手段です。ただし、生活に十分な預貯金があるなど、状況によっては仮処分が認められない場合もあります。
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