起訴後の身柄拘束は長期に渡るため、保釈されるかどうかは重要です。
逮捕・勾留段階では保釈はできませんが、起訴後勾留されている場合には可能です。また、保釈するためには、被害者と示談したり、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを主張し、認めてもらう必要があります。一度弁護士にご相談ください。
ポイント
- 一定の条件を満たしていれば、保釈制度で一時的に身柄の解放を認められる場合があります。
- 保釈の担保として裁判所に預ける保釈金は、犯罪の軽重や被告人の経済力により金額が決まります。
- 保釈中は守らないといけないことがあり、それを破ると保釈が取り消され、収容され、しかも保釈金が没収されることがあります。
保釈制度とは
一定の条件を満たしていれば、保釈制度で一時的に身柄の解放を認められる場合があります。
保釈とは、起訴後勾留中の被告人について、保釈金の納付を条件として一時的に釈放する制度です。そもそも、勾留は裁判を進めるための手段なので、証拠隠滅防止や公判出席確保などの目的を、被告人の身柄を拘束せずに達せられるのであればそれに越したことはありません。
保釈の請求は、被告人またはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹が行うことができます。婚約者を含む恋人、友人、同僚は保釈の請求をすることができません。 保釈には次の2種類があります。いずれの場合にも、保釈金の納付は必要です。
権利保釈
権利保釈とは、殺人や放火などの重大犯罪や常習的な犯罪を犯した者でないこと、証拠を隠滅するおそれがないことなど法律上の要件が満たされる場合に認められるものです。
裁量保釈
裁量保釈とは、前述の権利保釈が認められない場合であっても、裁判所がさまざまな事情(犯罪の軽重、事案の性質、家族関係、身元引受人の存在、職業など)を考慮した結果、保釈が適当であると判断されたときに認められるものです。
保釈金と保釈の条件
保釈の担保として裁判所に預ける保釈金は、犯罪の軽重や被告人の経済力により金額が決まります。
保釈を許す場合には、裁判所は保釈金を決めなければいけません。
そして、被告人が保釈金を没収されることをリスクと感じなければ意味がありません。そのため、被告人にとってどのくらいの金額であればリスクと感じるか、という視点から保釈金の金額が決められます。
実際には、保釈金は、犯罪の軽重・性質や、被告人の年齢、家族関係、資産などを考慮して決定することになります。その相場はおおよそ、150万円~300万円です。
そして、裁判所が出した条件や約束事を守れば、結果として有罪判決が出た場合でも、保釈金を納付した者に全額返還されます。
保釈中の制限
保釈中の生活には制限があり、制限を破ると保釈金が没収され、再び身柄が拘束されることもあります。
保釈を許す場合、裁判所は、被告人の住所を制限したり、その他の条件をつけることもできます。もし被告人がそれらの条件を守らなかったり、出廷しないとか逃亡したなどの一定の事柄があれば、裁判所は保釈を取り消し、保釈金の一部・全部を没収することができます。よくある制限と注意事項の例は、以下のとおりです。
保釈中の住所を指定された場合、移転などには裁判所の許可が必要
保釈中の住所を指定された場合で、住所を移転したり長期間外泊するようなときは、必ず裁判所の許可が必要です。裁判所に許可を得ずに海外旅行に行き、逃亡の恐れありとして保釈取消となったケースもあります。裁判所からの重要な書類が郵送されたのにも関わらず、確認しなかったような場合も指定された住所にいないのではないかと思われる可能性もあるので注意が必要です。
裁判所に呼ばれたら出頭しなければいけない
保釈中、裁判所からの呼び出しがあれば、必ず出頭しなければなりません。
病気などで出頭することができない場合は医師の診断書などの提出が必要です。保釈金の目的は保釈金没収のリスクの下、出頭確保をすることにあるので、出頭しないと保釈金を没収されたり、保釈を取り消されたりします。
被害者などにコンタクトしてはいけない
保釈中に示談や謝罪目的などで被害者にコンタクトしてはいけません。ましてや共犯者がいるような場合に共犯者と接触してはいけません。
その他、上記以外にも個別の事情に応じて、保釈中の生活に制限を課されることがあります。
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